ブラックペアン1988

どこにもいくつもりがない3連休というのも、覚悟を決めてしまえば楽しいものです……。・゚・(ノД`)・゚・。

ブラックペアン1988、「チーム・バチスタの栄光」でおなじみの、海堂 尊氏の新刊です。これもなかなか面白く、すっきりと読むことが出来ました。ただ、ストーリィの先が容易に読めてしまうのが難点ですね……時系列的にはバチスタよりも過去の話なので、そこらへんで楽しめると云えば楽しめるんですが。まあ、あまり医学的に面白いわけでもないんですが、なぜか医療系の本だとすんなりと読めてしまいます。いわゆる一種の職業病か?

ああ、あと気になった点が。

「木村教授は必要ない、と仰しゃっていました。戸村義介さんは検診で引っかかって以来、肺外科でフォローしていたそうで、二年間胸部陰影に変化がないそうです。肺外科初診時にはガフキーも陽性、ツィールニールセン染色でTB(結核)の確定診断がついているそうです」

本当にこれが根拠のすべてならすごく乱暴な話ですが、うーんなるほど、歴史を感じさせる話(?)だなあと思いました。

いまならどうでしょうかね……PCRがあるんで、臨床的に合致し、これで結核と出たらほぼ確診でしょうか。1988年の話ですから、PCRは実用段階にありませんでしたし、やはり小川培地でコロニーを確認し、ナイアシン試験*1とか複数の性状を見て同定していたんでしょうか。

まあどう考えたところで、ガフキーが陽性で、チールで抗酸菌が陽性だったところで、それだけでは結核の確定診断は付かないと思います。MAC症の可能性は否定出来ませんし、上記の状態は、「抗酸菌が排菌されている」という状態を示しているに過ぎないはずです。

ところで、私はあまり外科的なアプローチに詳しくはないんですが、左胸腔横隔膜合併切除、ってアプローチだと、ガフキー陽性ってのは問題にならないんでしょうか?肺尖部にあるのに横隔膜をどうこうするっつうのは、聞いただけでぞくぞくするんですが……

*1:この検査はいずれ保険収載から削除されるでしょう