インパールとコロナ

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インパール作戦とコロナと五輪をとりまく現状が非常によく似ていることを指摘した記事。前から構造がよく似ているし、いずれエントリを書こうと思っていたのだが、もうすでに書かれた記事が存在していた。ほとんどのことは、上記リンク先に書いてある。

インパール作戦 - Wikipedia

Wikipediaにある通り、インパール作戦は、今日では「無謀の代名詞」といってもいいくらい、むちゃくちゃな作戦である。冷静に読んでみると実現性はほぼ皆無なのだが、当時のビルマ方面軍(第15軍)司令官は、反対多数の中、『必勝を期して』この作戦を強行した。明らかに兵站を軽視したこの作戦は、多大な犠牲を出して散々な結果に終わるのだが、ビルマ戦役の状況と短期決戦志向に満ちたこの作戦は、錯誤が連続する戦争において、作戦立案が本来持つべき柔軟性を奪った。要するに、失敗することを想定していなかったのである。さらに、人情や体面が戦略的合理性を上回り、非合理的な判断であっても恣意的に是とする組織風土が被害に拍車をかけた。戦時中という異常な状況を考慮してさえなお異常であると考えざるを得ないこの作戦は、以下の本でも詳しくみることができる。

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まあ、要するに、インパールがいまのコロナ 政策とよく似ているね、と云いたいだけなんですが。
他にもねー、「戦力の逐次投入」だとか、「根拠なく恣意的に運用される評価基準」だとか、太平洋戦争時代と同じことやっとるわなー、って思うんですよ。あと、「意思統一、および一貫性の欠如」とか、「大艦巨砲主義」とか、「情報の軽視」だとか、「具体的方針の欠如」なども、キィワードとして浮かんでくる。「短期決戦志向」と「具体的方針の欠如」は「具体的な戦略の欠如」を生み、さらに「大艦巨砲主義」とあわさって、「必勝を期した引くに引けない一発逆転狙い」の政策につながっている。この「一発逆転」がスカに終わった時どうするつもりなのか、については、「必勝を期した作戦を前にして失敗したときのことを考えるなんてとんでもない」という空気のなかでは、まとも顧みられることはないであろう。いまの五輪開催におけるアレコレをみていると、まあ、そっくりだなあ、とは思います、はい。

これはもはや、日本の宿痾と云ってもいい。とくに、データと情報を軽視し、グループ内の融和を最優先事項にして恣意的に権力を運用する傾向があるのは致命的だとも云える。また、多方面に配慮を効かせるため、組織的判断基準となる基本方針があいまいになり、判断のために「お上にお伺いを立てる」状況が頻繁に発生するのも、日本的宿痾と云い切ってもいい。今回のコロナ に関しては、「五輪の開催とコロナの制圧、どちらが優先されるのか」、おそらく誰にも判断できないだろう。そのため、「観客を入れるのかどうか」も直前まで決められなかった。判断基準がないからだ、と断じてしまうのはやや厳しい気もするが、それでも判断基準がないからだとは、云えるだろう。

「不退転の決意」と云えば聞こえはいいのだが、精神論ってアレだよね的な現代においては、それはただの「杜撰な計画」だと云われてしまうのがオチなので、もう少し本質的な議論があってもいいんじゃないかなあとは思います。はい。

追記:
ちなみに、日本人が一発逆転ネタが大好きな証左として、「鵯越の逆落とし」ってえのがございましてね。。。ほかにも、神の御加護を受けて、とか、劣勢をひっくり返すネタ大好きなんですよねー。