現場に判断を任せることが最適解か

個人的にはNo。理由は簡単で、現場では自分たちの業務しか見えないからである。

ヒアリングをした時に問題になるのが、「どこまで深掘りするか」。でも、これはいちばん大きな問題ではないと思う。個人的にいちばん大きな問題だと思うのは、「現場がヒアリングで出してこなかった、潜在的な課題」について、どのような対応をとるべきか、という点である。よくあるのが、「ヒアリングの時に出してこなかったのだから、その課題は大したものではない(別に困ってない)」という解釈だが、これは間違いであることが多い。また、間違いであることに誰も(現場もヒアリング担当者も)気づかないことが多い。

従来型日本組織にありがちな「縦割り構造」は、職人スペシャリスト気質な日本人の感性によくマッチングしていると思う。「最高の仕事」をしていれば、それでOK、という状況を作りやすいので、現場的にも気が楽だ。その一方で、業務の流れを見えにくくする最たる障害にもなっていることも多い。毎月黙々と統計データを作って提出していたのに、提出先の担当者に聞いてみると、「いやー、前任者から引継ぎあまりなくって、、、なんか定期的にデータが送られてくるなー、とは思っていたんですけどね、使ってないんですよ、これ。でもまあ、私が知らないだけで、どこかで使ってるかもしれないし、別に邪魔になるわけでもないし、まあ、いいかなって」みたいなことが起こる。というか、至る所で起こっている。

この場合、誰も困っていないのがミソである。課題とは「理想とのギャップ」であり、逆に云えば、ギャップがなければそれは問題にはならないのである。誰もそこにギャップがあるとは認識していないが、全体的に見て、やはりそこには解決すべき問題がある。この例の場合は見つけ次第潰せばいいだけだが、現実はそう簡単には進まないのが哀しいところである。

いまいちばん必要とされているのは、「現場業務を大局から整理できる現場リーダー」であると考える。それも、全体のためなら、自分たちが多少泥をかぶることも厭わない、そういう判断ができるリーダーだ。これをトップダウンでやるには、よほど強権的にやらないと機能しないが、それでもしこりが残ったりして、あまりよろしくない。現場どうしで納得ができる交渉を繰り返すしかないのだが、そのような調整ができるリーダーが、圧倒的に少ない、、、というより、ほとんどいない。

まず日本に必要なのは、イノベータよりも、こういうリーダなのでは、、、と最近よく思う。