アミノグリコシド

クラビットと同様の理由で、1日1回療法が推奨されます。アミノグリコシドもまた濃度依存性の抗生剤だからです。

アミノグリコシドは腎毒性・耳毒性が強いため、嫌われやすい薬剤です。腎毒性は可逆的、耳毒性は非可逆的だと云われています。バンコマイシンやアムホテリシンなどの腎毒性を持つ他の薬剤とともに使うと、さらに腎毒性が増すことが知られています。私は研修医がこのアミノグリコシドを使っているところを見たことがありません。使うのは血液内科の先生*1くらいです。

不思議なことに、1日1回療法の方が総投与量は多くなるのに、副作用は少なくなる傾向があるようです。トラフ濃度が関係しているのではないかと想像します。尿路で濃縮されてすさまじい濃度になるので、尿路ではグラム陰性菌に対して無敵に近い抗菌力を誇ります。ただし酸性条件下に置かれると抗菌力が低下しますので、尿のphに左右されるという弱点がありますが。同様の理由でphが低下する膿瘍に対してはまったく効果がありません。

グラム陰性陽性を問わず嫌気性菌全般、サルモネラに対しては臨床的に無効です。サルモネラに効かないことを知っている医師は少ないんじゃないかなあ。

*1:もちろん好中球減少患者の熱発時