推奨されるべき方法

先日、厚生労働省から院内感染対策ガイドライン作成のための手引き書が回ってきました。コレ自体はべつにどうでもいいんですが(やっている病院はすでにやっているし、やっていない病院はこれからもやらないでしょう)、抗生物質の適正使用という項目に、こーんなことが書いてあったんですねえ。

  1. セフェムは投与回数を増やすべし
  2. アミノグリコシド系薬は1日1回投与を推奨
  3. フルオロキノロン系薬は1日1回投与を推奨

まあきわめて常識的な話しばかりなのですが、これって保険診療で認められていましたっけ?私もあんまり保険制度とか詳しくないんで何とも云えないんですが、アミノグリコシドの一回投与法やキノロンの一回投与法は、保険診療で認められていなかった気がします。それとも改正になって、認められるようになったのかな。あまり最近の動勢に詳しくないので、うかつなことは云えません。まあもし認められていないのだとしたら、認めないけど推奨する、なんていう、どこぞの政治家の答弁みたいになってしまうので、まさかそんなことはしないと思いますけど。

ちなみにアミノグリコシドは濃度依存性の薬剤ですので、本来であれば、投与回数は1日総量を一回投与が有効な薬剤です。看護婦さんの手間も減って薬効も上がる、すばらしい方法だと思いませんか。まあアミノグリコシドを使うのは慣れた先生だけでしょうから、あまり手間の軽減にはならないと思いますが、落とし穴がいくつかあります。ひとつは、感染性心内膜炎の治療でGMをかませるとき、このときは分割投与が推奨されています。1日1回投与では効果がなかったそうです。モルモットでの実験が根拠になっていたと思います。また重症感染症の治療に用いる場合、こちらのケースも分割投与が推奨されているようです。こっちはワシントンマニュアル感染症科コンサルトに解説が載っています。まだ分割投与の方がよいとされるケースがありますが、詳しくは成書を参考にしてください。

いくらすばらしい投与法でも、政治的に認められたものでなければ意味をなさないものです。もし仮に副作用が出たとして訴えられたら、負ける可能性があります。そんな方法を推奨されても仕方がありません。これは一回調べてみないといけないなあ……