CRPという神話

多くの医師がCRPを炎症反応のモニタに使っているようです。これは青木眞先生や岩田健太郎先生がおっしゃられていますが、おそらくCRPは炎症反応の経過観察や重症度判定には使用出来ないのではないかと思います。これは私も前から疑問に思っていたんですが、岩田健太郎先生のお話を聞く機会があり、半分くらい確信に変わりました。

まずCRPとは何か?

  1. CRPとは、肝臓で産生される物質である。つまり重症の肝臓疾患があれば、それだけでCRPはアテにならない。
  2. 逸脱酵素の類いではない
  3. 炎症の種類を特定しない
  4. ウィルス感染で上昇しないなんて誰が云ったんだ?

とくにアデノウィルスやライノウィルスの感染症などでも、病状によっては高値になりえます。CRPが高いから細菌感染ね、という理屈は成り立ちません。また、重症感染症、とくに肝臓をメインにやられている場合、CRPは産生されないことがありますので、これまたアテになりません。どんなものにも、例外はあるものです。CRPは低いから髄膜炎じゃない、なんて議論は成り立たないわけです。

感染症はおもに特定の臓器をおかすものです。いきなり全身性の炎症になることはあまりない。どこかに原発臓器があるはずなのです。たとえばそれが肺だったり消化器だったり、尿路だったりするわけで、見るべきなのは患者であり、CRPの値ではありません。まだ逸脱酵素で経過観察した方がエビデンスがあると思います。CRPを炎症反応のスクリーニングに使うのはいいと思いますが、バカスカ検査するのはおそらく意味がありません。やめた方がよいでしょう。

とはいえ、CRPをオーダしなければ、おそらくテが震える医師が大勢いるでしょうね。私は医師ではありませんが、私が医師だったら、たぶんテが震えるだろうなあ……