O104について

ヨーロッパで流行中のO104について、細菌検査担当の検査技師にとって、考えたくもない恐ろしい性質が見えてきました。これはマジで恐ろしい。いままで見たSTECのなかでも、ダントツに恐ろしい性質です。

元ネタはここ。さらに元ネタが欲しい人は、海外の文献を探して読みましょう。

 RKIに属するサルモネラおよび他の細菌性腸内病原体に関する国立レファレンスセンター(“National Reference Centre for Salmonella and other bacterial enteric pathogens”)(ヴェルニゲローデ)でヘッセンとブレーメルハーフェンの2名の患者より分離された病原体を試験した結果、アウトブレイクした系統は血清型O104の大腸菌であり次のような特性を持っていました。すなわち、志賀毒素2型(vtx2a,EQA 命名法2011 WHO血清学研究センター:コペンハーゲン)産生性、インチミン(eae)陰性でエンテロヘモリシン(hly)陰性でした。この系統は、第三世代セファロスポリン耐性(基質特異性拡張型ベータラクタマーゼ(ESBL, CTX-M型)による)で、広範囲の抗生物質に対して耐性を有し、特にトリメトプリム/スルフォンアミドやテトラサイクリンに対して耐性です。

エンテロヘモリジン(-)の志賀毒素(+)って反則だろ!

検査室にO104なんて血清型を常備しているところはきわめて稀だと思います(というか、たぶんない)。そしてエンテロヘモリジン(-)ってことは、エンテロヘモリジン培地でのスクリーニングに引っかかってこない。つまり、つかまえることが出来ない。そしてとどめがESBL産生菌。ここには書いてないけど、どーせキノロンにも耐性なんでしょ?キノロンには感受性だそうです。師範手前さま、ご指摘ありがとうございます。

どうやらクロモアガー系の培地で引っ掛けられるやつがあるかもしれないとかゆー話を聞きましたが、未確認でございます。なんともまあ、恐ろしい菌ですね。というか、こんな菌が入ってきたらどーしよーって感じです。