壊死・膿瘍を取っ払え

壊死・膿瘍の類いを抗菌薬でどうこうすることは(基本的に)出来ないと考えた方がよいでしょう。

理由はすごく簡単で、血流がないからです。当たり前と云えば当たり前のことですが、血流のないところに抗菌薬は移行しません。点滴で血管に入れているんですから、血流のないところに抗菌薬が効率よく広まっていくことはないわけです*1。劇症型A群感染症で治療の第一歩に壊死層のデブリドメンが挙げられているのは、こういった理由によります。

つーわけで、適切な抗菌薬が使われているはずなのに効果がないとお嘆きのアナタ。これは耐性菌感染症だ!と色めく前に、膿瘍などの局在化した感染症がないかどうかを探してみましょう。FLCZを使っているのにCandidaが消えない、じゃあMCFGだ!VRCZだ!と騒ぐ前に、体のどこかにカテーテルが刺さっていませんか?肝臓や脾臓に感染層がありませんか?カテーテルを抜かないで治療すると、成功率は30%ほどだそうです(うろ覚え)。

っていうか、毎回電話でそう云っているじゃねえか、この野郎!(失礼)みたいな。そろそろ同じこと尋ねるのも飽きてきましたね……

*1:若干、語弊のある云い方かも