便の性状と起炎菌2

前回の続きです。

Drの中には、C.difficileの検索の意味で便培養をオーダする方がいらっしゃいます。これは正直な話、ほとんどの場合は無意味です。理由は、C.difficileの中でも、毒素非産生株が存在しているからですね。従って、C.difficileの培養には、たとえC.difficileが陽性であっても、それが必ずしも下痢の原因とイコールにならないという問題を抱えています。

しかも、C.difficileの培養など通常は実施しません。便は嫌気性菌の宝庫であり、これをいちいち分離するのはとてつもなくめんどくさいのです。C.difficileに的を絞るならアルコール処理を実施して培養しますが、そうであってさえ他の菌を処理しきれないことがあります。つまり、そういった菌をターゲットにしていることを検査室側に伝えていなかった場合、かなりの確率でスルーされるでしょう。ウチではほとんどの場合、培養をお断りしています。CDtoxinの検出の方が、よっぽど有意義な検査になるかと思います。