JOJO「The Book」を読んだよ

JOJOの小説版を読んだ。大好きな作家のひとりである乙一の手による、JOJOのノベライズ。ちょっと興味のそそられる内容だ。

……と思っていたのですが。ぐすん。正直に云いましょう。
つまんにゃい。
な・ん・で、こんなにも面白くないのか。GOTHを書いて、失踪HOLIDAYを書く作家が、なんでこんなにも面白くないのか、どうしても腑に落ちません。そもそも、なんでJOJO乙一なのか。あまりにそぐわない組み合わせというか、聞いた瞬間に頭にいっぱい疑問符が出てくる組み合わせ。それをどうやって消化しているかが興味の対象でした。その点では、及第点以下だと思います。違和感は違和感のまま残りました。

困ったなあ。乙一のいいところって、「非常に完成度の高いストーリィ構成」や「心理描写の妙」ってのが確実にあると思うんですよね。あるべきものがあるべき姿をとってすべりでてきたかのような、あの奇妙な感覚。失踪HOLIDAYなんか最高だったと思います。「しあわせは子猫のかたち」もよかった。あれが書けて、どうしてこうなるのか。

もっと徹底的に乙一ワールドだと思っていたのに、それも残念でした。ようするに、中途半端なんですよね。基本設定以外の「荒木飛呂彦のにおい」をすべて消してしまった方がよかったように思う。中途半端なエピソードの挿入と、中途半端な心理描写と。基本的に「静的な描写で人を惹き付ける」乙一と、「動的な描写で引っ張っていく」荒木飛呂彦と、その両者が中途半端にあわさってこれが出来た、そんな印象を受けました。

あと、漢字のセンスが悪すぎます。センスというか、この本だからこの漢字の使い方なんでしょうが、この漢字の使い方は破滅的だと思いました。

彼の背後にいたスタンドが、ボクサーのようなかまえをとった。クレイジー・ダイヤモンドというのが、そいつの名前らしい。中世時代の戦士をおもわせるかっこうだった。その肉体は、うちがわから発光でもしているかのようにかがやいて見えた。腕や首回りの筋肉は、完璧な均整で、石膏像のようになめらかだった。ザ・ハンドはブリキのロボットみたいな顔つきをしていたが、こちらはより人間にちかかった。

うーむ……

彼の背後にいたスタンドが、ボクサーのような構えをとった。クレイジー・ダイヤモンドというのが、そいつの名前らしい。中世時代の戦士を思わせる格好だった。その肉体は、内側から発光でもしているかのように輝いてみえた。腕や首回りの筋肉は、完璧な均整で、石膏像のようになめらかだった。ザ・ハンドはブリキのロボットみたいな顔付きをしていたが、こちらはより人間に近かった。

の方が、より乙一らしい感じがするように思います。

まあ、読み手の主観が入りますからね……こういうのって。こういう批評めいたことは、「後だしじゃんけん」みたいで、卑怯だとは思いますが……

総じて、ただの人間にもどっちゃったなあ、という感想です。