耐性肺炎球菌

これはとても不思議なのだが、いままで耐性S.pneumoniaeを腐るほど見てきたのだが、たとえば成人の肺炎球菌感染症(S.pneumoniaeによる市中肺炎)で耐性の肺炎球菌をほとんど見たことがない。n数が少ないので確たることは云えないのだが、とにかく少ない印象なのである。

では「その腐るほど見てきた耐性肺炎球菌」ってえのはどこで見たのかというと、小児のハナなんですね。当院の小児科ではよく咽頭粘液と鼻汁分泌液を採取するのですが、この鼻汁からよく耐性S.pneumoniaeが出てくるのです。保育園や幼稚園でやり取りがあるのだろうというのは有名な説ですが、おそらくこれは正しいだろうと思います。そしてこの耐性S.pneumoniaeが感染に関与しているかどうかと云えば、おそらくNoなんじゃないかなあと思わされる事例が多く、耐性S.pneumoniaeに効果のない薬剤の投与で治ってしまったりするわけです。*1

だからどうだと云われると困るんですが、真剣に疫学情報を取ってみると面白いかな、なんて……

*1:もちろん別の原因が自然治癒したものと想像されます