終わりのない物語

子供心に、ネバーエンディングストーリィの展開が不思議でした。結論から先に云ってしまえば、ファンタジーに現実は不要だったのでしょう。本の中だけで完結しない物語に、違和感を覚えたものです。

もっと正確に云えば、「本の中だけで完結しない」のではなく、「ファンタジー」と「自分」で完結しない世界に違和感を覚えたのでしょうね。ファンタジーはもともと、「閉じた世界」です。決して外には開かない。それでいいんです。私はそれがファンタジーの存在意義のひとつだと思っています。まあ、そんなに深刻に考えたものでもないんですが。

でも、なんで異世界ファンタジーものは、最後には「自分の世界」に戻ってしまうんでしょうね?

「ネバーエンディングストーリィ」でも「千と千尋の神隠し」でもそうだったし、古今東西、異世界もののファンタジーならほとんどみんな、元々いた世界に帰っていくのですね。子供心にあれがとても不思議でした。まあ元いた世界に自分の意志で帰れるのに帰らないというパターンってえのは、いままで見たことがありませんね。何故か、つねに元いた世界に帰っていく。何ででしょうね?

私は「千と千尋の神隠し」を映画館で見たんですが、最後の展開にだけは納得出来なかったものです。なんであそこで元いた世界に帰ってしまうのだろう、なんで帰れるんだろう、って。元いた世界に帰れないけど油屋で力強く生きていく千を描いた方が、作品としてまとまりが出てくるように思えたのです。もし私がストーリィを構成したなら、まず間違いなくもとの世界には帰れませんね(笑)。

でもそれが物語というものだと思いませんか?ネバーエンディングストーリィは、文字通り「終わりのない物語」です。本来、物語とは「終わりのないもの」。だから「元いた世界に帰る」という展開に納得ができないのです。っていうか、ぶっちゃけなんで「現実に帰」らなければならないのか、そこがわかりません。帰らないといけない理由に納得がいかない。だから「現実に帰る」という展開に、物語の破綻を感じるのですね。私にとって、物語は「終わらないもの」なんですから。

極論すれば、ファンタジーはすべて終わらない物語なのかもしれません。