いままであんまりよく抗真菌剤のことは知りませんでした。以前、真菌血症は全例即座に治療の対象だと書きましたが、Candidaの同定ならともかく、感受性の測定には時間がかかります。おまけつきでSIR判定出来る薬剤はFLCZ、ITZ、5-FCの三つだけで*1、何を使って治療したらいいのか、いまいちよくわかりません。真菌は比較的菌名で感受性がはっきりと分かれるので、仮にラボが感受性試験をしていなくても菌名だけである程度治療は可能だと思われます。というわけで、抗真菌剤による経験的治療について、考えてみました。
- Candida血症に対して経験的に加療する場合
- 特別な理由がなければ、FLCZを投与。
- C.albicansには通常、よく効いてくれる。
- FLCZが効かない菌種として、C.glabrata、C.kruseiが挙げられる。
- C.glabrataに対しては、用量依存性かもしれない。
- カテーテルが原因である場合、温存しながら治療した場合の治療成功率は3割以下。
- 少なくとも、差し替えはするべきか。
- ジフルカンの添付文書にはCryptococcusやAspergillusにも使用可能だと書かれているが、基本的にはCryptococcus髄膜炎にはAMPH-Bが初期治療として推奨されていると思う。FLCZの役目はAMPH-B後のメンテナンスくらい。Aspergillusには良い適応にならないとしている文書が多いと思う。
- 腎機能は大丈夫?
- Ccrが50切っていたら、50%に減量する。
- 透析患者の場合は、透析終了後に一日用量。
- 無効例だと判断したら、重症度に応じてさっさとMCFGに変更してもよいのでは?
- 副作用もあるのに、AMPH-Bを使うほどでは……という方に最適。
- 便利な薬だし、あまりにアゾール耐性が多い施設では暗黙のうちに1stになってしまうかも……
- もちろんCandida血症なのに、最初からAspergillusまでカバーする理由はない。
- しかし、抗真菌剤については医師の経験がアゾールに偏っているせいか、MCFGが乱用されているというイメージは、いまのところ、ないなあ……
- 特別な理由がなければ、FLCZを投与。
*1:しばらくドキュメント見てないから新しく追加されているかも……