タミフルについて

どうやら厚生労働省は、タミフルについて、販売元の中外製薬に「10歳以上の未成年患者の服用を原則として差し控える」との内容の緊急安全性情報を出して医療機関に配布するように指示したようだ。タミフルについては服用者の異常行動が問題視されており、以前からマスコミ関係者がいろいろ記事を出していた。

けっきょくのところ、タミフルがそんなに危険なのか、と云われれば、答えは誰にもわからない。はっきりとしたかたちで因果関係は認められていないし、タミフル以前にも似たような症状があったわけで、インフルエンザ脳症の可能性だってないわけではないだろう(中外製薬は精神系の副作用は認めているのだが)。ただマスコミは、「タミフルを飲んで」「錯乱行動に走り」「服用者が死んだ」という流れで厚生労働省を叩く傾向があり、その論調はどうにも気に入らない。因果関係はあるのかもしれないが、グレーゾーンとしかいいようがない現在、あまり叩くのもいかがかと思われる。

この指示がどれほど裁判に影響するかはまだわからないが、基本的に薬品に関する安全性は薬品に添付されている添付文書が基準であり、合理的な理由なしにこれに反することは「医療基準」から逸脱していることになる。つまり、それで副作用が出て患者の健康が障害された場合、反論の余地なく「有罪」なのだ。はてさて、これはいったいどうなることだろうか。

タミフルが有益な薬であることは疑う余地がない。少なくとも、学術的なスタディはそろっている。その有用な薬に対して、「10歳以上の未成年患者の服用を原則として差し控える」というのは、なかなかきついお達しのように思える。現場はどう反応するか、薬をほしがる家族と薬を処方したくない医師、ストレスで胃が溶ける小児科医が出てくるかもね。


(ちなみに日本は世界のタミフルの約7割近くを占有しているタミフル大国なのである。有用な薬であることは間違いないが、あまり乱用しない方がよいのでは?)