評価できない検査

世の中には、「評価の難しい検査」というのが存在します。別名、「やっても意味のない検査」です。もっと別の名前を使えば、「やってはいけない検査」とも云われます。評価が曖昧で、診断にほとんど寄与しない検査ですね。このような検査は、医療費の問題からもするべきではありません。また偽陽性や偽陰性に悩まされることになるので、やってしまうと弊害も大きいです。

たとえば、C.difficileの培養なんか、「やってもほとんど意味のない検査」だと思います。抗菌薬関連腸炎を疑った場合は、CDtoxinの検出を試みるべきで、培養検査にはほとんど意味がありません。なぜなら、毒素を産生しないC.difficileが存在しているためで、培養して仮に陽性になったとしても、その株は毒素を産生していないかもしれないからです。培養された株をさらに前処理してCDtoxinの検出を試みることは可能ですが、そこまでやるとまず間違いなく赤字になりますし、時間もかかります。意義に乏しいと思いますので、私はワガママ主治医がゴネないかぎり、まずやりません。説明して、納得してもらいます。納得しない、ごくごくわずかなわからんちんに黙ってもらうために実施する検査です。

そういえばこれを書いていてすこし思い出したんですが、当院にはCD陽性患者の隔離基準、なるものがありまして、CD陽性患者をベッドコントロールでコントロールしています。隔離すること自体はどうとも思わないのですが、解除基準には疑問を覚えます。そんなこと、ありませんか?たしか2回連続で陰性だったらOK、みたいな感じだったと思うのですが、これもほとんど意味がないのではないかと思っています。たかだか2回連続で「出なかった」だけで、C.difficileの存在が否定されるわけではないはずです。再発だってします。そもそも2回連続ってのは、厚生労働省だったかな、どこかのお役所が出しているMRSAの隔離基準をもとにしていたと記憶していますが、スタンダードプリコーションを徹底するのはどの患者に対しても同じはずで、「下痢が激しく、拡散する恐れのある患者」に対しては接触予防策などの特別な対処を要する、というのが現実ではないでしょうか?症状がなくなれば隔離解除でいいのでは?と思ってしまいます。ときどき問い合わせを受けますが、いつも疑問に思ってしまいますね・・・・・・