気付いたときには

気付いたときにはもう遅い。それが感染対策というものでございます。

検査技師って、どうしても結果にばかり目がいきがちですよね。喀痰からK.pneumoniaeが出てきたら、肺炎桿菌による肺炎だ!と云いたくなる。こちら側からは患者さんが見えないので判断しようがないのでほんとのところはよくわからないんですが、院内感染に対しても同様に思考しがちです。

ある部署からS.maltophiliaが日をあけて検出されたのですが、だからといって別に検出された順番に菌が患者を移っていったわけじゃない、というのは、少し考えると明白だと思うのです。そりゃ菌が伝播された事実は変わりませんが、別に順番に移っていったわけではない。検出された順番って検査が出された順番ですから、ほとんど意味をなさない事実ですよね。どちらかというと、複数人から出てきたら、もうすでにどこかに決定的なリザーバがあって、そこからいろんなひとに広まっているんじゃないかと思います。で、いまはその氷山の一角を見ているだけ。S.maltophiliaなんかその典型でしょう。

抗菌薬の使用に従って交代してくる菌については、日頃の感染対策がどれだけ機能しているかが物を云います。気付いたときにはもう遅い。感染対策の難しさって、こういうところにあるんじゃないかと思います。まあ、こんかいの教訓を次回に活かせれば、遅すぎるということにはならないかもしれませんが……