毎度のおなじみの儀式ですが、これから書くことを真に受けて起きたいかなる事象にも私は関係がありません。これはあくまで勉強のために書いているわけですので、何かの参考にする場合はちゃんとまともな本を読んでください。以上。
というわけで。
たぶん小児ではよく見る疾患なのではないでしょうか。別に蜂窩織炎に限ったことではなく、軟部組織感染症とまとめてしまってもいいかもしれません。原因菌の大半はStaphylococcusとStreptococcusであり、投与する抗菌剤は自然とこれらをカバーするものになります。ここで落とし穴がひとつあって、同じ軟部組織感染症でも致命傷になりかねないガス壊疽、壊死性筋膜炎は原因菌がS&Sではないことがあります。これらは見逃すと即致命傷になるので、診察する医師はどきどきものでしょう。
ガス壊疽の起炎菌は、いわずとしれたClostridium perfringensです。嫌気性菌ですね。こちらは軟部組織を食い荒らすように急激に進行し、ガスの貯留がおきます。同じ現象がClostridium septicumでも起こるそうです。こちらは私は経験がありません。C.perfringensによるガス壊疽は皮膚組織の破綻から始まるのが特徴だと云えます。いずれにせよ、一分一秒を争う、恐ろしい感染症です。
壊死性筋膜炎の起炎菌はと云えば、以前にも書いたA群溶血性レンサ球菌感染症ですよね。人食いバクテリアというやつです。それに加えて、複数の嫌気性菌による感染がありえます。このテの重篤な軟部組織感染症は、見たらすぐに脊椎反射で外科医を呼んでOKな領域ですから、創部の浸出液なりデブリした壊死組織なりをグラム染色したら、たいていの場合は起炎菌が推測出来るのではないかと思います。私自身は、嫌気のPolymicrobialな壊死性筋膜炎は扱ったことがありません。検査技師になりたてのときに一件ありましたが、そのときはそんなこと考えてなかったもので……
通常、創のない蜂窩織炎は培養検査をしません。注射器かなにかで患部を吸引して培養したらよさそうなもんですが、内容物が取れないこともありますし、創部の培養をしても皮膚常在菌が生えてくるだけ、というオチも用意されています。そんなわけで、蜂窩織炎は起炎菌不明、感受性不明で治療することが多いようです。でも難治症例の場合は、何とかして培養を提出してほしいなと思う今日この頃であります。
というわけで、恒例のツリーを。
- 軟部組織感染症を叩くぜ。
- 基礎疾患を持たない群でもっとも一般的な原因菌は、S.aureusとStreptococci
- 入院加療するならCEZでOK。ハンパに投与せずに十分量を頻回投与。
- もし外来で治療するなら、CEXかなあ。
- 同じ第1世代であるCCLはたぶんS.aureusをカバー出来ないので却下。
- 何故か第三世代であるCFDNはMSSAをしっかりカバーする。
- 無効例もありえる
- もしかしてMRSA?
- ほっぺたの近くで小児なら、Haemophilusも容疑者。BLNARだったらいやだから、この場合はCTRXか。
- 基礎疾患に糖尿病を持っていると話しがややこしくなる。
- 急激に進行する壊死性筋膜炎は、見逃すと致命傷になりかねない。
- 実際に診断の遅れた劇症型A群溶血性レンサ球菌感染症の致命率はとても高い。
- 創部の浸出液を迅速キットにかけても陽性に出ることが多い(やっていいのかどうかはわからないけど、出ることは出る)。
- 治療はPCG+CLDMが第一選択薬。
- 起因菌がすぐにわからない場合は、脊椎反射でカルバペネム。カルバペネムならたぶん何使っても同じ。投与間隔は違うが。
- 嫌気性菌が原因である場合もカルバペネムが妥当な感じ。
- 壊死性筋膜炎はカルバペネムの使用が正当化されると思う。たとえ培養結果がA群であっても、結果が判明した時点でおもむろに抗菌薬を変更したらいいだけの話しだと思うし。
- ガス壊疽は上から押さえるとプチプチするそうな。
- 基礎疾患を持たない群でもっとも一般的な原因菌は、S.aureusとStreptococci