資格というもの

資格というのは偉大だと思う。人生に余力のある人、これから先の長いフレッシュマン、まだ学生の人などは、出来るかぎり資格を取るのが良い。

いますぐに役に立つことなどたぶんないだろう。就職に有利になるかと云えば、それはちょっと疑わしい。だが、のちのち役に立つことは間違いない。資格内容なんか覚えていなくてもかまわない。社会的には、資格を持っている、というのが大切なのである。まじめに考えればおかしい話しなのだが、現実というものはそういうものなのだ。このおかしな現象の特徴だけは、把握しておくと良い。

どういうことかと云うと、「資格を持っている」というだけで、ひとの認識が変わるのだ。理不尽な話しだが、これはもう仕方がない。就職の面接でもそうだし、仕事でもそうだ。面識のないひとどうしが集まって仕事をする場合がとくにそうだと思う。ひとはまず相手をどうやって把握するのかを考えてみればよくわかる。社会人が相手に自分を把握させようとする場合、まずは名刺を配るではないか。まずは名前、そして顔。次に社会的なステータス。仕事場での人間認識はこのあたりが重要で、相手を技師長だと認識するのと、相手をヒラだと認識するのとでは、おのずと接し方も変わるし、発言内容も変わってくる。このひとの云うことならば正しいだろう、と相手に思わせることが重要である。資格はその補助をしてくれる。

とまあまじめに云ってみたものの、ようは資格持ってない俺が正しいことをぴーちくぱーちく吠えても何もかわらねーのなー、という愚痴なのであり、世の中理不尽に出来ているよね、というお話なのであります。愚痴ついでに云うけど、だいたいね、いまどき抗生剤の使用量を把握していない病院なんかありゃしねえんだよぅ。感受性率から推測して、うちはほぼ間違いなくカルバペネムの使用量が多いはずで、まずはその根拠となる実データが欲しい。その根拠をもとに、脊椎反射でカルバペネムを使用する医師を見つけなければならない。肺炎にチエナムとダラシンを使う医師がまれにいて、それはこちらも把握しているのだが、あまり検査技師の身で処方がどうとか云えないのである。明らかにおかしい場合は、こちらも処方について推薦薬剤という形で伝えたりはするのだが……

ちなみにきょう血液培養から出てきたStreptococcusにはCAZ+TOB*1が使われていたので、ABPCあたりに変えたらいかがですかと伝えると、ABPC/SBTに処方が変更になっていた。おお、ちゃんとde-escalationしてるじゃん、と思ったら、あとでLVFXが追加になっていた。これをどう判断したらいいのか、よくわからん。たぶん下痢するんで、気をつけてください。

*1:臨床的には免疫不全患者の熱発。血培の結果が出るまでのエンピリックセラピーとしてはおそらくベストチョイス