タミフルと天秤

はやくも先日の「診断名はインフルエンザじゃないのに飛び降りた」記事の逆事例が出てきました。つまり、「タミフル飲んでないのに飛び降りた」事例ですね。両者とも、探せばもっともっと出てくると思います。こういうのは症例を積み重ねることが大事で、まずはデータを蓄積することです。そこから意味のある何かを引っ張りだしてくる。必ず、根拠に基づいた結論が必要です。あやふやな印象で行動しちゃいかんということですね。

実験しにくい分野である医療は、こういう事例を積み重ねにくい分野でもあります。医療はアートであってはいけないのですが、多分にその側面がある。腕のいい医者、悪い医者、なんて云いますが、まさに医療は経験と感性で成り立つ分野なのです。だから経験を積んだ医者はいい医者であることが多いわけですが、じつは医師という生き物は、過去の経験に基づいて、堂々と間違えます。まあ間違えるときは誰でも一緒だと思うのですが、医師は過去の経験が物を云うことを知っているので、それを修正しようとしないんですよね。ときたま困った医師がいて、やっぱり困ってことになってしまうことがあります。

タミフルはグレーゾーンです。まだどちらとも判断出来ません。よって備蓄政策が覆ることはありませんし、医療機関で処方されるのは悪いことではありません。先日にも書きましたが、タミフルを処方されるのがイヤな人は、医師にその旨を伝えましょう。医師に大丈夫だと判断されれば、なーに、数日苦しむ時間が増えるだけで死にゃーしませんて。

タミフルのもたらす利益と、タミフルのもたらす副作用を天秤にかけて、どちらを選択するか、という問題です。おおむね選択権は患者側にあると云えます。

(ちなみにA型インフルエンザの治療薬としてはアマンタジンがありますが、鳥インフルエンザには無効だと予想されています。リマンタジンもA型に効果がありますが、日本では発売されていません。)