日本のPCGの不思議

PCGといえば、いわずとしれた抗生物質の先駆け、これなくしては世界の感染症治療は成り立たなかったであろうと思われる世紀の大発見の結晶なんですが、日本のPCGにはいろいろ不思議な点があります。臨床屋さんは疑問に思ってください。PCGには筋肉注射用しか存在しないようなのですね。

PIPC:静脈内注射できます。ちゃんと添付文書に筋肉注射と静脈内注射の場合が記載されています。
ABPC:静脈内注射できます。ちゃんと添付文書に筋肉注射と静脈内注射の場合が記載されています。
PCG:筋肉内注射できます。でも静脈内注射の記載がありません???

好きな人は、E-pharmaあたりで調べてみてください。

コレを見ると、なんで?とまあ、猿のような疑問がわいてくるわけです。
これすんごい不思議なんですけど。たとえば、PCGが有効でかつ大量投与する一例として先に述べた劇症型A群溶血性レンサ球菌があるわけだけど、そんな生きるか死ぬかの感染で、第一選択薬が明らかにPCGで、筋肉注射なんてやってられないと思うのですよ。筋肉内注射の利点はたしか薬効が長続きすることだったと思うのですが、そのぶん血中濃度のあがり方は遅いわけですね。生きるか死ぬかの感染症でそんなちんたらやってられるかボケェ(失礼)と普通の臨床屋さんは思うはずなので、だとしたらPCGのこの現状はとても不思議なわけです。誰も使わないから気にしないってことか?

全抗菌薬中最強と云っても過言ではないPCGですが、耐性菌のあまりの多さと院内感染の起因菌がMRSAやお水系のグラム陰性桿菌にスライドするにつれ、使われる機会を失いつつある不遇の薬です。もっと使ってあげてください。

……薬剤部が採用してくれていれば。