感染症

ムコール症による院内感染事例

これは非常に珍しいケースで「へー」と思いました。ほー。元ネタはこっち。ムコールでも院内感染ってあるんですね。感染経路等、詳しい情報が欲しいですが、とくに対策に致命的な瑕疵のあったケースでもないし、裁判沙汰にもなっていないので、これは環境感…

耐性菌サーベイランスの中間発表

厚生労働省のサイトに、NDM-1関係のサーベイランスの中間発表が載っていました。みんな、こんなサーベイランスがあったということを覚えているのかなぁ。感染症をやる人たちのメッカ「感染症診療の原則」経由。ちょっと驚いたのは、腸内細菌科のIPM-1が意外…

NDM-1サーベイランスが始まるよっ

病院に勤めているみんなーっ、厚生労働省通知は届いているかーいっ!!というわけで、知っている人だけ知っている、NDM-1耐性菌サーベイランスが今日から年内いっぱいにかけて始まりますよ。なんだそれ、そんなのぜんぜん知らねえぞというひとは、こちらの通…

活用するつもりのないデータは集めてはならない

疫学データの難しいところ。労力と結果が釣り合いにくい。データを集めるのであれば、明確な目的があるべきであり、その目的が最小限の労力で達成されるように、慎重に計画されなければならない。活用するつもりもないデータを「ついで」に集めるのは労力の…

耐性菌報告ラーッシュ!

というわけで、大方の予想通り、あちこちから耐性菌の報告が上がってきています。これ勘違いしたらいけないのは、耐性菌の報告がないところは検査してねえだけだからな!!いえ、冗談です。感染対策がばっちりで、抗生剤の適正使用も完璧で、耐性菌が発生す…

NDM-1に絡んで、カルバペネム耐性腸内細菌サーベイランスの通知が出ています

タイトル通りです。JANISに案内が出ています。たぶん現場に厚労省通知がおりてくるのにはタイムラグがあると思われますので、検査担当者は目を通しておくと少しだけハッピィになれるかもしれません。JANISトップページはここ。厚労省通知(PDF)はここ。さら…

ついにNDM-1が……

意外に早かったのか、こんなものなのか……元ネタはココ。 しかし今日は話題が多いな。 インドやパキスタンなどで感染が確認されている、ほとんどの抗生物質が効かない新しい耐性菌が、栃木県壬生町の独協医大病院に入院していた患者から検出されていたことが…

これからの医療とか感染対策とか

いちばん困るのは、通知とかで「なんでもかんでも報告しろ」と云われてしまうこと……かな。院内感染の疑いがあればお上に報告する、それで結構じゃないかと云われる可能性もあるんですが、これ、ぜんぶ報告してたらきりがないです。たとえばMRSA。患者さんか…

NDM-1について

厚生労働省通知が出ています。通知はココ。PDF注意。通知自体は19日に知り合いの先輩からまわしてもらったので読んでいたのですが、まさか通知が出るとは思っていなかったのでぶっ飛びました。検出方法もちょっと……カルバペネム、アミノグリコシド、キノロン…

夜勤明けのシビれる蜂巣炎

溶血して赤ワインのような色になった血液培養が陽性(好気ボトル+嫌気ボトル)。データも何もなしにまず考えられるのは、腸内細菌、レンサ球菌とガス壊疽あたり?場合によっては嫌気性培養もいるかなぁ?好気ボトルが陽性になっているからといって嫌気が絶…

Clitical colonization...?

こういう病態……というか、状態かな、こういう状態に対する名称があるということを知らなかったんですが、夏井睦先生がHPで疑問を呈しておられます。細菌がバイオフィルムをつくって創面に定着した状態で創の治癒は遅延すると考えられているようですが、これ…

百日咳の増加

感染研の統計によると、百日咳が増えているようです。元ネタはこちら。ときどき、百日咳は子供の病気だと認識している人がいますが、じつはそんなことはありません。たしかに罹患して比較的高い確率で重症化するのは乳幼児ですが、成人でもちゃんと百日咳に…

乳幼児の髄膜炎

生後四ヶ月のベビーちゃんの髄膜炎疑い。まあ、結局は髄膜炎だった訳ですけど、髄液が検査室にきた時はまだ「疑い」でした。髄液、真っ白だったけどな!今年の春研修医なったばかりという出来立てほやほやの研修医が持ってきてくれたのですが、「あー、白い…

O-157にご用心

国立感染症研究所の発表によると、どうやら今年はO-157が例年よりも流行っているようで、なかなかに盛況な様子です。もとネタはここ。ウチでよく聞く原因食材は、生レバーとかゆっけとかですね。しかもそれを子供に食わせて、食わせた自分はぴんぴんしている…

麻疹の恐怖

アフリカのほうで、麻疹が流行しているようです。麻疹は本来とても怖い病気なのですが(結果的に弱毒性であった新型インフルなんか目じゃないくらい)、日本ではその怖さがいまいち理解されていないようです。やっぱり、目の前でどんどん麻疹患者が発生して…

監視培養に効果はあるのか?

アカデミックなエントリではないので悪しからず。文献を読んでいるとときどき出くわすのが、「積極的な監視培養を実施している北欧諸国ではMRSAの感染率は低い」という文言。これはどうかなーといつも思うのですが、監視培養を実施しているからMRSAの感染率…

すこしだけ問題発言してみよう

抗酸菌の塗抹検査について、すこしだけ。微生物関係者は怒らないで下さいね。個人的に思うのですが、ときどき抗酸菌の塗抹検査で夜間呼び出されるのですが、アレ、別にやめてしまってもいいんじゃないかと思わないでもないです。まあ院内に微生物検査室があ…

高CRP血症で人は死なない(と思う)

高K血症で人は死ぬが、高CRP血症で人は死なない。高CRPになれば人は高CRP状態になった原因のために死ぬ可能性があるが、高CRP状態が直接の原因で何か致命的な状態を引き起こすことはまずない。逆に云えば、高CRPは患者のクリティカルな状態を必ずしも反映し…

Candidaさん、ナメんなよ……

血液培養から出てくるCandidaはすべて治療対象です!以上ッ!(もうふてくされて寝る!)

プロカルシトニンと抗菌薬の適正使用

プロカルシトニンの資料をネットであさって読んでいるんですが、よく思うのが、「プロカルシトニンで抗生剤の適正使用が実現するか?」ですね。個人的な意見としては、否定的な感想です。ツールの問題じゃなくて、文化の問題だと思うけどなあ。PCTが全能で、…

勉強会の続き

正直、ものすごい難産です。こんかいの敗因は、「勉強会として軸がぶれている」でして、いざやるとなるとしゃべりたいことが多すぎて、グラム染色をテーマにしたいのか、血液培養をテーマにしたいのか、それとも分離される菌の感受性と抗生剤の使い方をテー…

無意味な学級閉鎖に引導を……新型インフルエンザの総括

続いてしまった引導シリーズ(爆)。日本感染症学会で新型インフル関係の発表がいくつかあったようです。私は参加できませんでしたが、シンポジウムなどで新型インフル対策などの総括……というか、振り返りというか、まあそういった発表があったようです。も…

無意味な検便に引導を

引導シリーズ(笑)。まあ、厨房職員の検便については、厚生労働省のマニュアルである「大量調理施設衛生管理マニュアル」に明記されちゃってるんで、引導もへったくれもないんですけどね。でも、無症候性保菌者を発見するための検便に意味がないことは、少…

ABKに引導を

ちょっと大げさなタイトル。以前からABKの有効性に対して疑問を持っていましたが、その印象はいまでもぜんぜん変わりません。むしろ、「もうMRSAに対してABKは使うべきではないのではないか」とさえ思い始めました。理由は三つ。「そもそもABK単剤投与で軽快…

CVカテ挿入時の最大無菌操作法は感染リスクを減らさない?

元ネタは日経メディカルオンライン。全文読むには登録が必要かも。CVカテ挿入時のマキシマムバリアプリコーションは結構云われて久しいと思うのですが、個人的には懐疑的でした。自分のいままでの体験から、どうも「カテーテル感染の大半は、一過性の菌血症…

超耐性菌…?

耐性アシネトバクターの記事。アシネトバクターのアンケートが病院に来ていたから何かあったのかなと思っていたのですが、コレでしょうか。抗生物質が効かない菌がいるというのは非常にインパクトの強いニュースなので、何かの活動のきっかけにはうってつけ…

日常的にサバを食している患者から摘出された白い生き物

いきなり■■■を見て欲しいと他部署から呼ばれて、いそいそと出向。さて、これが件のブツの顕微鏡写真だが、いったい何なのか、おわかりになるであろうか。アニサキスのケツである。ひゃー。というわけで、内視鏡していた患者さんの胃壁に変なものが食い込んで…

不適切なQFT検査

検査技師の立場から云うと、ちょっと待て、と云いたくなるニュース。m3.comで大阪府のQFT検査に不備があった(というか、組織培養プレートを使わないといけないのに微生物培養プレートを使って検査をしていた)というニュースが流れていましたが、その後、他…

正露丸について

三た論法で思い出したんですが、正露丸の有効性についても、たぶんに三た論法的なところがある気がします。古くは結核にも使われたというので驚きですが(これに限って云えば明らかに間違った使い方です)、当時は魔法の薬として重要な位置を占めていた製品…

湿潤療法を試してみたよ、その続き

というわけで、驚きの結果である。まず始めに断っておきたいのは、私はたしかに湿潤療法が理にかなった治療法のひとつだと考えているが、それを万人に推奨しているわけではない、ということです。個人的には、この湿潤療法を行ったことで生じるいかなる結果…