警告のある薬

薬の処方において、「警告」とは、最大級の注意事項を意味します。つまり、重大な副作用が起きる可能性があるため、最大限の注意を換気します、という意味です。使用法を誤れば事故を引き起こす可能性があるため、あえて「警告」として注意喚起をしているわけですね。

文書に「警告」が載っている抗生剤は、そう多くはありません。むかし読んだ本には、ST合剤が唯一だと書いてあったと思います(現在では、GFLX、VCM、LZDなども警告付きのようです)。このST合剤には、骨髄抑制などの副作用があります。他剤が無効のときに使用すること、と書いてあります。有用な薬なのですが、もったいない話しです。

すでに感染症を叩くカテゴリで書いていますが、ST合剤は腸内細菌を広くカバーしますので、尿路感染症にはよい適応になります。米国では(というか、サンフォードでは)、尿路感染症の第一選択薬です。ただ日本ではそういう事情もあって、ST合剤が使われるシーンは比較的珍しい。S.maltophiliaなどの耐性菌が出てきたときにしか使わないのではないでしょうか。

ST合剤はカリニ肺炎にも使えます(P.cariniは名前がP.jiroveciに変わりましたね)。HIV患者の感染症の予防投与にも使えます。Nocardiaの第一選択薬です。こうやって書くと、比較的マレな感染症、しかも専門領域が絡む感染症でしか使われていない感じがしますね。私は研修医がSTを処方している例を見たことがありません。尿路に気軽に使うなんてもっての他、ということになるのでしょう。

じっさいはそれほど副作用の発現頻度は多くないそうです。どの程度かまではちょっとわからないんですが、診療に差し支えるほどではないみたい。それよりもCPの再生不良性貧血の方がよっぽど怖いけど、なぜかCPには警告がついていないようです。もう誰も使わないからかな。これも使う機会は限られていて、きわめて重篤な他剤無効のサルモネラ、くらいでしょうか。あと他剤無効の髄膜炎とかにも使えるかもしれません。どっちみち、日本で使う機会は少ないでしょう。

尿路でSTを使っている病院って、日本であるのかな……