王よ、私が正しいことをあなたは証明してくださいます。
王よ、あなたが正しいことは誰が証明してくれるのですか?
指導医と意見が対立してしまった研修医の苦悩です(苦笑)。
腎盂腎炎の一般的な経過として、三日は解熱しない、というのがあります。つまり、有効な全身管理を施して抗生剤を投与しても、三日は様子を見なければならない、ということです。よくアテにされるCRPやWBCは非特異的すぎて、現実問題としてあまりアテにはなりません(汎用されていますが)。救急で診断名尿路感染症にABPCを投与しようがCTMを投与しようが、はたまたカルバペネムを投与しようがPIPC/TAZを投与しようが、三日は様子を見なければならない、ということになります。だから自信をもって抗生剤を選択し、自信を持って経過を観察する必要がある。これが意外と難しいし、慣れないと恐ろしいわけです。
尿路感染症の場合は、グラム染色で経過を見てもいいかもしれません。やったことはないので思いつきですが、肺炎でも効いていればきれいに消えますし、理論的には尿路にも使えるんじゃないかと思う次第です。グラム染色は経過観察には非常に有効です。とくに肺炎でおすすめ(培養はお勧めしません)。いい検体が取れれば、客観的な証拠を提供してくれるでしょう。レントゲン像、WBC、CRPが改善する前に、喀痰中の起炎菌がきれいに消えます。
カテーテルの入った患者の尿路感染症。指導医は「抗生剤、効いていないんじゃないか」と云う。研修医は「抗生剤の変更には早すぎるんじゃないか」と思う。どちらが正しかったのかは結果が示してくれますが、結果が出てからでは遅いというのが難しいところ。正しい経験の積み重ねだけが思考に重みを与えてくれます。よりBetterな結果を目指してつねに考え続けるしかないのかなあと、いつも思います。