トンフルの動き

5月22日現在、確定症例数は274例。感染エリアは兵庫県、大阪府、滋賀県、東京都、……かな?

いよいよ東京にも出てきたわけですが、パニックになることがいちばん心配されます。マスクが店頭にない、マスクを探し求めて行脚するひとがいる(感染症対策の原則、患者をむやみに移動させるなが守られていない)という時点で、すでにパニックになっている気がしますね。皮肉なことに、海外からの持ち込み例だった(孤発症例)、というわけで、いまのところ人から人へと広がっているわけじゃないんですが、発熱相談センターへの相談が急増したりと現地はそれなりに反応しているようです。いきなり発熱患者が増えるわけではないので、やっぱり周囲にいるかもしれないと考えると不安になるんでしょうね。

パニックを引き起こすもっとも根源的な衝動は「恐怖」だと思うのですが、やはり目に見えないというのは相当な「恐怖」のようです。どうでしょうね、バイオハザードのようにゾンビがデロデロしながら襲いかかってくるのと、目に見えないウィルスが静かに襲いかかってくるのと、どちらが怖いでしょうか……うーん、やっぱゾンビのほうが怖いかな。どちらにせよ、「わけがわからないものに襲われる」というわけで、そういう怖さがあるんでしょう。知らないことは「怖い」ことだから、疑い症例でも「未明に」「大臣が」発表してしまう。知ったことで何が解決するわけでもないのに、「安心」を求めて無駄な行動に出てしまう。いまでも充分、プチパニック状態ではあります。

東京症例の記者会見

社会的責任って、いったい何なんでしょう。渡航制限も出ておらず、国連に問い合わせてOKだされて、現地でもそれなりに対策して用心して、それでもかかっちゃったんだから、いいじゃないですか。この方たちが責められる理由がどこにあるんでしょう。みんなでよってたかって被害者を責めて、まるで魔女裁判です。おまえたちがいるから「黒死の病」がなくならないんだ……現代のひとって、自分たちの知的レベルが昔よりも高いと思っている人が大勢いるみたいですが、根本的に変わってないと思いますよ、ほんとに。

ちなみにマスクが感染防御に有効かどうかには、明確なエビデンス(論拠)がありません。しないよりはマシかもしれませんが、一日一回取り替える、マスクの前面には触れない、しめったら捨てるなど、適切に扱うことが必要です。マスクには隙間があり、そこから感染する可能性が常に残ります。なんとなく推奨されて、何となく必要だとみんな思っているんですが、これさえあれば大丈夫なんて神器ではありませんので、注意しましょう。マスクは基本的に患者が着けるもので、さらに云えば、その場合のマスクは、ティッシュやくしゃみのときに口を覆うことで代用出来ます。流行期に重要なことは、むやみに外に出歩かないこと、です。マスクを着けることではありません。

というわけで、冷静な行動を促したいのであれば、正確な情報を伝えることが必要だ、ということですね。マスク業界(?)は特需でうれしいかもしれないので、暴動でも起きないかぎりは放っておいてもいいのかもしれませんが(マスクで暴動ってすごいな)。