尿中レジオネラ抗原検査の導入

診療部側から、尿中レジオネラ抗原をして欲しいと打診があったそうです。

私自身、ウチの規模の病院(中規模)としては、肺炎球菌とレジオネラの尿中抗原は院内でやるべきだとかねがね思っていたのですが、ようやくその流れになりそうな感じです。この不況のさなか、新規の検査項目を入れるのは難しいんですよね、これが……なんだかんだ云って、最終的にはコストが障害になってくるんだと実感します。必要なものが導入されていない、必要なものが必要だと認識されていない、やるべきことが実施されていない。すべてコストが優先された結果です。レジオネラに限らず、採算が合わなければ、いくら診療に役立つツールであっても、導入が見送られてしまいます。そんな馬鹿な話があるかと思うのですが、理想論なんて現実じゃ通用しないのです。……だからまあ、絡め手が必要なこともあるわけで、ね?

どうも検査側から新規検査を提案しても検査部内でハネられちゃうんで、

Drけしかけちゃった(てへ)

救急でグラム染色を見たときにレジオネラの話になって、その患者さんはたしか重症の誤嚥性肺炎だったかな、スライドを見ながらDrと話をしていて、このひと非定型肺炎をカバーしておいたほうがいいですかねえ、みたいな話になったわけです。染色像では肺炎の原因は明らかだったのでおそらくカバーする必要はないと思うとしたうえで、万が一にも外したくないのであれば、初期治療にマクロライドを噛ませるのは別にいいんじゃないでしょうか、という話になりました。結局、マクロライドは使わずにABPC/SBTで治療されたと記憶していますが、ちょっと前の話なのでよく覚えていません。そのときに、尿中レジオネラ抗原の話が出たんですね。これさいわいとばかりに、いまは外注検査だがDr側から提案してくれれば意外にすんなりと導入になると思いますよ、ぜひ部長あたりを通して技師長に打診してみてくださいと伝えました。それからしばらく音沙汰なかったので、まあそんなものかなと思っていたのですが、いまごろになって話が出てくるとは思いませんでしたね。

私たち検査技師ってのは検査のエキスパートなわけですから、検査技師として、臨床に役立つ情報があれば、それを積極的に臨床側に提示すべきだと考えます。それが院内に検査部がある、いわば検査部の存在意義というものなのでは?主治医の云うままに検査をするだけなら、外部委託のブランチラボで十分ではないかと思います。にも関わらず、院内に職能集団としての検査部が存在する意義は、検査の立場から臨床に意見できる、提案出来るという部分にある。診療に役立つという判断が出来れば、積極的に提案する。臨床側はその提案を検討し、いいものは取り入れ、使えないものは却下する。検査技師は情報を提供し、場合によっては意見する。最終的な責任者は主治医ですが、検査技師は検査の立場から臨床に関わろうとしなければいけないと考えます。これが検査技師としての付加価値というものではないかと、私は漠然と思っています。

だからDrと同じレベルで話が出来ないとダメなわけで、ひたすら勉強あるのみです。インプット、インプット。