炸裂する地雷

感染症的には、どうやら感染性心内膜炎は地雷の一種と捉えていいようだと思うようになりました。

検査技師の立場としては、謎の貧血があり、尿潜血があり、炎症反応があって、抗生剤の投与のたびに解熱するとくれば、とりあえず感染性心内膜炎は鑑別にあがってくるようにおもうのですが、私にそういう症例をポロッと相談する大半の人は、感染性心内膜炎を想定していないようです。指摘すると、たいてい絶句されます。私としては、原因不明の熱の鑑別になぜIEを含めないのかが理解出来ないのですが、そんなものでしょうか……

心雑音がなければIEじゃない、心臓の奇形がないからIEじゃない、歯抜いてないからIEは考えない、というのは、否定の理由としては弱いと思います。一般的に血管内感染症は治療期間を長く取るものだと思いますので、これらをしっかり鑑別することは重要なことのはず。だからここで血液培養を取る必要性が出てくるわけです。血培陽性がDukeの診断基準の中でももっともインパクトの大きい項目ですので、inもoutも、血液培養を取っていないと困ってしまうわけです。

ショットガンアプローチはまずいとは思いますが、血液培養を取っておくことは重要なことだと思います。もともと取らなさすぎるので、もっと採っても採り過ぎというわけではないはず。何かの本に書いてありましたが、1セットしかない血液培養は6誘導しかない心電図と同じ。面白くて的確な表現だと思います。不完全な検査で除外診断していると、いつか地雷を踏み抜くでしょう。