斜陽

いまの臨床検査がまさにその「斜陽」なのではあるまいか、と思うのだが、どうだろう。

むかしは検査をすればするほど儲かったわけで、医師は何も考えずにばんばん検査を出していればよかった。病院もそれでOKだった。なんせやったらやっただけ儲かるのだし、止める理由が何もない。試薬関係のメーカさんはがんがん試薬が売れてハッピィだし、院内感染が起きればその治療で抗生物質が売れた。患者の負担は増えるが、治療に必要だと云われれば納得せざるを得ないということもある。医療界は総じてハッピィな時代だったと云える。

で、医療費が際限なく膨らんで行くのに悲鳴を上げた人たちが頑張って考えたのが、「包括支払い」という考え方。いままで出来高払いで算定されてきた保険点数を、疾患ごとに額を決めて支払うことにした。たとえば、肺炎ならなんぼなんぼ、という風に額を決めておいて、その中で治療を行いなさい、という感じだ。その額を超えたら赤字で、超えなければその分が収入になる。これからの病院は、なるべくコストを切り詰めて、無駄な検査をせず、早期に入院患者を退院させなければ、儲けにならない。病院が儲けるなんてけしからん、などという的外れなことを云う人がいるが、病院も経済活動を行う以上は儲けなければならないことは自明の理だ。一般の企業と決定的に違うのは、活動の最終目標が「儲け続ける」ことではない、という、ただそれだけなのだ。

というわけで、単純に考えれば、もう臨床検査が儲けを出す時代じゃない、という悲しい結論が待っているわけですねえ。ところがどっこい、ほんとにそうでしょうか?と考えるわけです。たしかに出来高払いじゃなくなったのでドル箱ではなくなったとは思いますが、そう悲観したものではないと思うのですね。これからこういうこともちょこちょこ書いていこうと思うのですが、私は細菌検査は院内感染対策で生き残っていく道があると思いますし、生化学的検査だってNSTとかクリニカルパスとかあるし、まあいろいろあると思うのですよ。ただひとつ云えるのは、臨床を知ろうとしない検査技師に生き残る道はない、ということでしょう。外注会社がいっぱいありますので、院内でマニアックな検査をする必要はまったくなくなりました。それよりもバランスよく専門知識を身につけて、主治医のフォローを出来る検査技師が必要だと思います。まあ、そんな感じです。

決して書くネタがなくなったからまじめなことを書いているわけではありませんヨ(普通は逆か)。