Kaplan criteria

Norovirusのアウトブレイクを検出するための疫学的診断基準として、Kaplan criteriaという診断基準が存在する。1982年にKaplanが研究に基づいて提案した。その有用性はいまいちはっきりとはしないものの、ノロのアウトブレイクに際して検査が使えない(もしくは時間がかかる)場合、Kaplan criteriaに基づいて判断することをCDCのNorovirusガイドラインは提案している(なんとカテゴリ1Aだ)。

Kaplan criteria(カプランの疫学的診断基準)

  • 有症症例の半数以上が嘔吐している
  • 平均潜伏期間が24時間〜48時間である
  • 平均罹病期間が12時間〜60時間である
  • 便培養で有意な原因菌が検出されない

この4つをすべて満たす場合、その集団がNorovirusによるアウトブレイクを起こしている可能性はかなり高い。CDCガイドラインのAppendicesを参照すると、具体的には、感度:68.2%、特異度:98.6%だと記載されていた。感度は低いものの、基準を満たすことで得られるものの確度は高い。

検査をしないと患者に説明できないからNorovirus検査をやれと強行に押してくるDrがいるが、そもそも感度の低い検査をやって陰性になったときにどうやって何を説明するのか、誰も考えていない。云いたいことは理解できるが、この場合、検査の結果はあまり意味がない。

感染性胃腸炎は、検査の結果で感染対策を実施するのではすでに手遅れだし、そもそも意味がない。下痢をしている、嘔吐をしているということは、すでに「体液をまき散らしている」患者なので、検査の結果如何に関わらず、感染対策の対象になるはずだ。Kaplan criteriaは病院環境下で役に立つのか検証されておらず、実用的かどうかはまだよくわからないが、個人的には、アウトブレイク発生時には検査を行わずとも、これで充分なのではないかと思っている(続く)。