ノロウィルス胃腸炎

ノロの感染対策の基本はとてもシンプルであり、

  1. 嘔吐、下痢への暴露を避ける
  2. 患者は個室隔離し、接触予防策の下に置く

 である。にも関わらず、これだけあちこちの施設内で集団発生しているのを見れば、このウィルスを制御することがいかに難しいかということがわかるだろう。また、ノロウィルスは症状が治まってもウィルスの排泄が続く。このことが、問題をさらにややこしくしている。

 一般的には、医療従事者がノロウィルスに罹患した場合、ある程度の就業制限が加えられるべきだろう。CDCガイドライン*1によれば、「職員休職および方針」の項目には、「症状が消失してから48時間は職場に復帰すべきではない」とある。現実的にはマンパワーの問題もあり、どの程度の期間制限を加えるかについては、個々の施設、業種によって異なるだろう。成人であるなら、排便のコントロールが出来るようになれば、ある程度は復帰可能ではないかと思われる。

 このCDCガイドラインには和訳も存在する*2ので、こちらの方が読みやすい。

 

 問題は、「頑張って働いてしまう善意の人」をいかに後顧の憂いなく休んでもらうか、という部分にかかっていると思う。要するに、休みやすい環境を整備してあげることが大事であって、そのような環境は、巡り巡って患者さんの安寧にもつながると思うのだ。だから、ちゃんと「休職の方針」を定めて、きちんと休ませるというのが、冬場の感染対策では重要である。

(まあ、そうやって遵守すればするほどマンパワーが減って、残されたヒトが苦しくなるからみんな我慢して働くんだけどね……)

 

 先日の記事でも書いたとおり、ノロウィルスの迅速診断キットの検査結果をもって、職員のノロウィルス診断を行うべきではない。陽性に出ればほぼ間違いないので、その方が後顧の憂いなく休めるだろうが、陰性であったとしてもノロウィルスを除外することは出来ない。従って、検査を行うことのメリットは乏しいのである。ノロウィルスを疑わせる患者は、即刻お帰りいただくのがもっとも確実な方法なのである。

 ちなみに、国際的にはバイオテロリストは即刻射殺である。いや、だからどうだと云いたいわけではないが。

*1:http://www.cdc.gov/hicpac/norovirus/002_norovirus-toc.html

*2:http://hica.jp/cdcguideline/norovirus/CDCguideline2011.htm