CDIについて

いま(個人的に)もっとも問題なのが、「新しく出てきたCDトキシン検査キット」について。

GDHが取れるようになっているんですが、扱いかねています。これ、みんなどうやって運用しているんだろう?この結果をちゃんと解釈できる人は問題ないと思うんだけど、たとえばGDH(+)toxin(-)と臨床に報告したとして、主治医はその結果をちゃんと解釈できるのだろうか?

日本にも昔、GDHをラテックス凝集反応で取れるキットがあった。あまりにも検査試薬として役に立たないので忘れ去られていった検査。だけど、そのGDHがまた復活したわけだ。こんどのGDHは感度特異度バランスが取れて優れている。まるでVCMみたいなヒストリィ。日本の歴史からすると、なんだかUターンのような気がしないでもない。

このGDHが取れる、という考え方は、「アメリカ式」といってもいいと思う。加藤はる先生は昔から一貫して(だと思う)培養の必要性を説いておられたが、日本では培養検査はあまり一般的ではないように思う。とにかく時間がかかるし、培地の管理も大変だ。何より操作方法が煩雑で、結果が出る頃には臨床的に決着がついていることが多い。それよりは、臨床判断でメトロニダゾールを突っ込んだ方が、「合理的」ではある。VCMを入れるのは時にどうかと思うこともあるが、必要であればそうするだけだし、MZであれば、それほど耐性云々という話も出てこない(VREを選択することはわかっているが)。

アメリカ式では、トキシンが(+)であればそれでよし、GDH(+)toxin(-)であれば、培養を実施する。培養を実施し、培養したコロニーから再度toxinを実施、それでも陰性であれば毒素非産生型ということになる。培養を実施しない施設であれば、GDHの結果はあえて無視する、というのもありなのかもしれないとちょっと思う。(+)(-)関係なしで、トキシンしか見ない。こうしてしまえば、いままでのキットとそう大差あるわけではない(toxinBの感度が改善しているため、メリットしかない)。

たぶん、現行キットが年度末に使えなくなるので、そのタイミングでウチは切り替えるのを予定している。実はいますぐにでも変えて実験してみたくてうずうずしているのだが、メーカの営業さんに年度末まで使うと云ってしまったので、しかたなく使っていると云った具合。不義理をかますのも、アレだしなー。

ところで、CDを疑うときにCDtoxinの検査を繰り返すのはあまり意味がないらしい。たしかに、二度目以降陽性になった例をほとんど経験しない。経験上そうだとわかっていたので、いままでは「疑うならMZ入れちゃえば?」って主治医をそそのかしていたが、今度からは自信を持ってそそのかそうっと。