ワクチンか無効か有効か2

英語ですが、北海道で行われた季節性インフルエンザの調査に関する論文です。

英語で、しかもアブストラクトしか読めませんが(全文読みたい人は登録が必要なようです)、エキサイト翻訳か何かに翻訳させてもわりかしすっきり読めます。意図的に、しかもわりとわざとらしく一部分を抜粋すると、「42例の男児、22の女児の症例が把握され、73.4%(47例)は4歳以下であった。すべての症例でワクチンは未接種で、経口アスピリンの服薬もなかった」という調査結果だったようです。アブストラクトしか読んでいないので何とも云えませんが、やはり学童期のワクチン接種を進める結論になっています。

私は新型ワクチンの効果は「感染予防じゃなくて重症化の防止」だと思っていますので、医療従事者は感染対策、ワクチンの優先順位は透析患者さんだと思っています。もちろん医療従事者が軒並み倒れてしまったら診療が機能しなくなりますので医療従事者は(期待を込めて)接種が望ましいと思っていますが、それでリスク回避が出来るとは思えない。「無効か有効か」という二元論じゃないんですね。そのあたりはちゃんと考えておくべきだと思います。タミフルの予防投与についても同じことが云えるわけで、先日WHOは「タミフル予防投与は耐性ウィルスを生み出すの可能性があるので、原則として控えるように」という勧告をしています。これも正しいかどうかはわかりませんが、少なくとも医学的には発症してから服薬するので十分で、一度予防投与を始めると、いつ、誰が、どういう判断でやめるのかを決めなくてはならない。やめどきがわからなくなるんですね。ここからは愚痴ですが、そこらへんが事務屋さんにはわからないらしく、タミフル予防投与→インフル発症しない→マンパワーが減らない、と考え、私のまわりでは予防投与を推奨する考えになりつつあるようです。個人的な意見として、それでもかまいませんが、必要な患者に行き渡らなくなる可能性を考慮したほうがいいのと、流行期になったら疑い症例でも自宅療養になるだろうと云われているのに、どうやってインフル患者と接触したことを判断するのか、疑い症例すべてとの接触でタミフルを飲んでいたらきりがないだろうということをわかってない。やるなら範囲をしぼる必要性があり、会議でもそれを提案したのですが、なんとなく流されてしまいました。インフルエンザみたいな呼吸器感染症が「流行期に入る」ということがどういうことなのか、いつも想定が甘い気がすると感じています。

ちなみに事務屋さんが大好きな厚生労働省も、予防投与は原則しなくていい、だったと思うのですが、そこらへんは都合良く読み替えるんですねえ……