ジェネラル・ルージュの凱旋を見たよ

というわけで、ジェネラル・ルージュの凱旋を見てきました。未見のひと、読みたくない人は続きを読まないように。

ちなみに私の満足度は60%。個人的にはいまいちだったことを付記しておきましょう。

まあ私自身が医療関係者だと云うバイアスはあるものの、ちょっといろいろなところが気になる映画でした。まあ医療関係者だから気になるといったところですが……映画にする上では仕方がないのかもしれませんが、やっぱり作り物だなあと感じてしまうのが残念です。ドクターヘリが飛ばない理由は、「採算が取れないから」ですよね。映画のクライマックスのシーンで、原作だったら速水が「取材のヘリは飛ぶのになんでドクターヘリは飛ばないんだ」と吠えるシーン、結局同じ台詞を映画では田口が云うわけですが、その直後に厚生労働省の役人である白鳥が「他県からドクターヘリを回した」って感じであっさり飛ばしてしまう。お役人の一言で現実がひっくり返ってしまう。おお、何と云うご都合主義!(笑)一気に拍子抜けしてしまいました。やっぱり最後は権力ですかい?

採算が取れない、というのは、もっとずっと大きな問題なのです。人間の命は地球よりも重い、それは結構なことだと思います。しかし、現実問題として、救急をしっかりやろうとすると、採算の面でどうにもならないという現実があるのです。では、足りない分をどうするのか。ドクターヘリは有用ですが、その維持費用をいったいどうやって捻出するのか。どれだけ有用であるということが分かっていても、必要な分だけ、際限なく税金をつぎ込むわけにはいかないのです。これは個人の能力や事情、力を大きく超えた問題であって、厚生労働省の役人が「手配しておいたよ」とかいって解決されてしまうと、映画の持つテーマまで揺らいでしまう気がします。これは失敗だったんじゃないかなあ。

手堅い作りで、目に見える大きな破綻もなく、抑えるところでちょっとした笑いも織り込んで、いい映画だとは思うのですが……この手の医療問題をテーマに持つ作品としては、いまいちな感じです。かといってミステリとして見れるかというと答えはかなり明確にNoで、これはもはやミステリとは云わないでしょう。いまいちどの部分を客層として狙った映画なのか、どういう心構えで見ればいいのか、観客としてはわかりにくい映画でした。まあ、そこそこに面白かったのですが。

ちなみに、速水センター長はいいですね(笑)。いつも笑っているような堺雅人の表情がじつによくマッチしています。飄々とした天才、ってところでしょうか。竹内結子センセも相変わらずかわいいですし、演技力も抜群。画面はとにかく華やかな感じで、終止観客を惹き付ける魅力はあると思います。……もったいないなあ。

(またまたちなみに、私は「いま会いに行きます」にやられたクチですが何か?)