カテーテルは抜去しようね、でも…

院内の広報誌に、カテ感染時にカテーテルを抜去することの重要性を書きました。カテーテルを抜くことはとても重要で、バイオフィルムを作ってしまったカンジダは、抗真菌薬ではまず退治出来ません。だからかどうかは知りませんが、カンジダによる感染性心内膜炎はほとんどの症例で外科適応になってしまいます。血液内科の患者さんで、β-Dグルカンがめちゃ高値で、抗生剤どかどか入ってて、当然カテーテルもあって、ケモ中だから好中球もほとんどなくて、そういう患者さんがいたとき、カテーテルは抜去するべきだと私は自身は考えています。経験則として、血液内科の患者さんで、カテーテルが入ったまま感染が治まった例をみたことがありません。全例抜くべきかどうかについては議論のあるところだと思いますが、個人的には抜くべきだと感じています。

ところが、抜いたら熱が引いたから抗真菌剤使いませんでした、なんて云っている主治医がいて、大丈夫かコイツは、なんて思うこともあります。たしかにカテを抜いたら熱は下がるでしょう。菌のリザーバを除去してしまえば、菌量は圧倒的に少なくなりますから。でもそれは抗真菌剤を使わなくてもいいという話しにはならないわけで、実際に血液内科の患者さんは、カテーテルを抜いたくらいではグルカンが下がらない症例が圧倒的に多い。治療は必須だと思います。カテを抜いて、そのまま抗生剤を使わなくても大丈夫な症例は、たぶん表皮ブドウ球菌感染のみです。まあ、これならカテを抜かなくても治療可能かもしれないと、レジデントのための感染症診療マニュアルには書いてありましたが……

カテーテルを入れたまま、グルカンが下がらない下がらないと頭を抱えている症例をここ数件見たので、たまりかねて広報誌にまとめを書いてみました。でも、誰も読まないんだろうなあ……

ちなみに、タイトルは、「カテーテルは抜去しようね、でも油断しないでね」です。