便培養を出すときに考える

入院患者で便培養を出すときに考えることは、たぶん、「自分は何が出てくるのを期待しているのか?」だと思います。これなくして便培養を出す事なかれ、ではないでしょうか。

相変わらず抗菌薬関連腸炎を見逃す主治医が多いので、不思議で仕方がないのです。なんでこの超粘性下痢便+血液混入の検体で、しかも抗菌薬の投与歴があるのに、偽膜性腸炎が頭に浮かばないのでしょうか。きょうも便中白血球を見つけてため息をつきながらCDtoxinの検出をやったんですが、なぜ便培養は出すのに、CDtoxinの検出依頼を出さないのか、とても不思議です。便培養で何が出てくることを期待しているのでしょう?O-157サルモネラ赤痢?Campylobacter?どれも入院環境下ではほとんど検出されない菌ばかりです。原因食がなければこれらの菌には感染しないわけですから、ほとんどの場合は鑑別にも挙らないはず。下痢しているから便培養、では、ちょっと困ります。

別に便培養を絶対出すなというわけじゃないんですが、「自分はいったい何が出てくるのを期待しているのだろう?」と自問しながら出してくれるといいんじゃないかと思います。

(追記)
この症例では、常在菌がわんさか貪食されていました。「虚血性腸炎」とか「潰瘍性大腸炎」のときにも貪色像を見たことがあります。なんでだろ……