血液培養からカンジダが出てきたら、全例加療対象です。どのくらい重症か、ですか?超重症だと思ってください。カテーテルが入っている場合は、カテーテルが感染源の可能性が跳ね上がりますので、カテ挿入部の発赤などの感染徴候を確認し、疑わしい場合はカテ先の培養を提出することをお勧めします。施設によっては、β-Dグルカンを測定するとよいかと思います。あとカンジダ眼内炎可能性もあり得ますので、眼底検査も必要になることがあります。Drに聞かれたら、私はこのように答えています。
カンジダの病原性は微妙なところですが、それだけに血液培養から繰り返し分離された場合は起炎菌として扱うべきだと思います。経験的にFCZを使用するのがいいかと思いますが、菌種によっては効きが悪い場合もあります。状態が悪く、エマージェンシーだと感じたら、MCFG(ミカファンギン)を使う方がよいかもしれません。こちらはほとんどのカンジダをカバーしますが、トリコスポロンやフサリウムをカバー出来ません。この二菌種はしばしば臨床現場で見る機会がありますが、フサリウムはともかく、トリコスポロンはMCFG投与後に見ることが多い気がします。それほど危急ではない場合、MCFGはFCZ無効例に取っておくべきかもしれません。肝臓代謝の薬剤ですので、腎臓の弱い高齢者にも気兼ねなく使えるのが利点です。
まあ全例加療対象というのは言い過ぎかもしれませんが、カンジダ眼内炎などは生命予後というより患者のQOLにモロに影響しますので(失明があり得ます)、そう云う意味では注意を払うべき疾患だと思います。こういう意味で血液培養は二セット採ってほしいんですが、なかなか浸透しませんね。薬を入れたら全部いっしょだと思っているDrが多いようです。
- 血液培養からカンジダが出てきたよ
- 二セットから出てきた場合は、ほぼ間違いなく起炎菌だと考えてもよいでしょう。
- カテーテルがある場合、起炎菌である可能性が上がる。
- カテーテルを念入りに観察するべし。尿路のカテーテルも対象。
- 治療は、第一選択薬としてFLCZなどどうでしょう?
- C.glabrata、C.kruseiには無効なので注意。C.albicansにはよく効きます。
- FLCZは通常、Aspergillusにはよい適応にはなりません。注意。
- FLCZ無効例には、MCFGかなあ。
- Candidaすべてを強力にカバー。albicans、non-albicansを問わない。
- Aspergillusにも活性があるところがすごい。
- 接合菌全般、Fusarium、Torichosporonには無効。ついでにCryptococcusにも使えないので注意。
- 肝臓代謝のため、腎機能不全患者にも気兼ねなく使える非常に便利な薬。
- MCFGで軽快しなければ、ちょっと一息入れて考え直すべきかも。
- β-Dグルカンを真菌血症の指標として使うと、どうもすっきりしない気がする
- ちゃんと臨床症状と相関することもあるのだが、明らかにおかしいこともある気がする……
- CRPもそうだが、真菌血症を迅速に検出するのには使えるのだが、経過のモニタには使えない気がする……
- 誰かそこらへん知りませんか?そんな論文、ないかなあ……