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最後の 〜 BRM102 高松400 〜

いったいどこの誰だろう、残りのコースが「フラットだ」などと云ったのは?

ちっともフラットではなかった。というか、往路ではまったく気にならなかった細かいアップダウンが、300km走った脚には異様にこたえた。さすがに脚をついてしまうほどではないにせよ、しかし楽に越えていけるほど「フラット」なものではない。実際にはかなりエグいアップダウンだ。とくに往路なにげなく下っていたところが、凶悪な上り坂に化けている。冗談じゃないぞ。

ぶつぶつと頭の中で文句を云いながら、目印にしていた引田IC、道の駅みろくをクリアし、休み休みしながら走り続ける。走力の似た数名のランドヌールと、出会ったり別れたりを繰り返す。陽はすっかり落ちてしまい、二度目のナイトランになっていた。

じつは本格的なナイトランはこれが初めてだ。常にライトは二灯装備だが、がっつり数時間にも及ぶナイトランをしたことは一度もない。神戸西200で最後にナイトランを強いられたが、そのときの反省から、灯火類はわりと充実している。街中をブルベペースで走行する分には、ほとんど問題ない。自然といっしょに走ることになったふたりのランドヌールといっしょに、黙々とペダルを回し続ける。一回、コースミスしかけたが、いっしょに走っていたランドヌールに間違いを正してもらえた。一人旅は好きだが、誰かといっしょに走っていると、とても心強いものだ。

ゴール間際の目印にしていたジョイフルが見えてきたときには、自分で想像していたよりも、ずっと嬉しかった。ここを左折したら、Finishはもうすぐだ。

――400km。ここまで延々400kmを走ってきた。ちょっと信じられないくらいの、気が遠くなるような長い距離だ。歩いたら10日以上はかかるだろう。自動車でも気軽に出かけられる距離ではない。何の因果か、そんな距離を自転車で走ろうと思い、そして走りきったのだ。サイコンの数字はキューシートから5km弱ずれている。もうキューシートのずれを頭で計算するのもめんどくさくなるほど、すべてが限界に近かった。

Finishポイントでレシートを受け取ると、とりあえず温かいコーヒーで一息ついた。そしてそのままゆるゆるとゴール受付であるジョイフルを探す。中で飯を食って、ブルベカードとレシートを渡し、ゴール受付を済ませると、じわじわと、ああ、終わったんだな、という気がしてきた。

苦しかったのは苦しかった。辛くないわけではないし、もう二度とやるかと思いながら走っていたのも事実だ(とくに200km前後では)。その反面、走り終わった後には、苦しかったことだけがすっぽ抜けて、不思議な高揚感だけが手元に残っていた。

高松から室戸岬へ。そして、夜明けを迎えて、また高松へ。400km。たぶん、また来年もやってしまう気がしている。