映像流出について思うこと

ひとつ。映像をyoutubeに流した実行者は、おそらく公務員に課せられた義務である守秘義務違反を犯した、れっきとした「犯罪者」である。いつからこの国は犯罪者を英雄視するような国になったんだ?

ふたつ。マスコミが流したら特ダネで、個人が流したら犯罪者ってのはどういう理屈だ?なんでマスコミが映像流出の実行犯を犯罪者扱いしているんだ?

みっつ。捜査上の情報である証拠映像を流出させた動機を愛国心云々と褒めそやすのは、わかりやすい勘違いである。愛国心があれば犯罪を犯してもかまわないでは、およそ法治国家としての体をなしていない。いつから日本は、法治国家ではなくなったのだ?愛国無罪もけっこうだが、これでは中国と同レベルの民度と云わざるを得ない(中国は船長を英雄視しており、黒が白になる世界である)。

よっつ。(あの映像が正真正銘、こんかいの事例の証拠映像だったとして)あれだけはっきりした証拠をあげておきながら、その行為を糾弾せずに見逃すというのはどういう了見なのだ?高度な政治的判断と云えば聞こえはいいが、国際社会において、犯罪を見て見ぬ振りをした前例を作った「重み」は大きい。

いつつ。不思議なことに、国が倒れる直前には指導者がころころと入れ替わる。引き継いだ負の遺産を処理しきれない責任を負わされるためだが、この末期的な状況に拍車をかけたのはまちがいなく民主党政権であろう。民主党政権ももはや期待するに値しないという印象を受けるが、困ったことに民主党は「自分たちが選ばれた」と勘違いしているために状況が改善する見込みはない。

むっつ。証拠映像を流出させた動機が愛国心だったとして、このような行為を英雄視したくなる気持ちはわかるし、正直なところ、応援したくもなる。なるのだが、こう、なんというか、いままでの歴史だとここで運動が盛り上がって「時の政権を倒すぞー」ってなるところなのだが、マスコミが無視できない規模のデモが起きたりしないのがいまの日本という国なのかなー、と思わないでもない。そういった心的エネルギーを持たない国が日本の現状なのではないか?だから、国のトップのおじいちゃんたちも及び腰で、何かっちゃ理由を付けて闘争に対して及び腰なのではないか?こう、外交的圧力で捩じ伏せるという発想はないんかいな。ある意味、いまの政治家たちが何かっちゃ及び腰なのは、いまの日本国民全員の心性を表しているような気がしないでもないのである。

けつろん。
しっかしまあ、一個人が自分の全人生をかけて行動しないといけないとまで思わせ、そして実行させた「罪」を自覚はして欲しいもんだーね、と思うのではあった。もしかしたら、海保の組織的な決定でリークしたものかもしれないけど。っていうか、そっちの線の方が濃いと思うけど。