バタフライエフェクトを見たよ

脅威の雑記サイトふたたび(爆)。

主題にもあるとおり、バタフライ効果を効果的に取り込みきれいにまとめあげた一作です。若干消化不良なところはあるものの、一見の価値ありと思われます。ちょっと古い作品ですので、TSUTAYAあたりでレンタルするのがいいのではないかと。家でじっくり見るのに最適な作品とも云えるかもしれません。満足度は非常に高く、個人的な好みもあるかとは思いますが、客観的に見ても85%ってところじゃないでしょうか。

以下盛大にネタばれします。読みたくないひとは読まないように。斬新なアイディアとよく練り込まれた脚本が生命線の作品です。ネタばれ注意!

バタフライ効果の詳細な説明はWikipediaか何かを見ていただいたらいいと思います。まあ特殊相対性理論に従えば過去に戻るという行為自体が成立しませんのでそんな野暮は云っちゃいかんってなもんなんですが、「時間を巻き戻す」のではなく、「セーブポイントからやり直す」といった感じの表現になっているのがうまいです。なぜなら、バタフライ効果の概念に従えば、時間を「巻き戻す」と、正確に過去を再現できないと考えられるからですね。わずかな位置のずれを再現できないカオス系では、「巻き戻す」と物体の正確な位置を再現できず、正確に巻き戻らないからです。巻き戻す際にもバタフライ効果の影響を受け、そもそも正確に時間を逆行できないと考えられます。このあたりがみょーに納得できて、別の意味で面白かったりします。

でもいいですね、なかなか切ないエンディングでしたが、もっと悲劇的な結末になるんじゃないかと思いながら見ていたので、ちょっとほっとするような感じが憎いです(笑)。後味も悪くなく、きれいにまとまっています。後味悪くしたほうが「らしさ」は出たんじゃないかと思いますが(いままで何をやっても誰かが不幸になったのに、ラストのあんな些細な干渉だけで不幸が全回避になるのはおかしい)。

で、ちょっと不思議に思ったのが、「もし誰かがこのメモを見つけたなら、それは僕の計画が失敗した証拠で、そのとき僕は死んでいるだろう」という冒頭(ラスト)のくだり。「僕の計画」ってのは「ケイリーとはじめて出会ったときに戻って『決して僕に近づくな』と宣告し、ケイリーといっしょにいる未来を抹消してしまう」ということでした。つまり、「誤ってケイリーを殺してしまう」展開をなかったことにしてしまう計画です。これが成功すればエヴァンは精神病院にいないので、メモ自体が発生しません。この計画に失敗するということは、つまり「ケイリーを誤って殺してしまう展開を阻止できなかった」ということで、エヴァンは変わらず精神病院に収容され、メモは作られる(と思う)。これで「そのとき僕は死んでいるだろう」というのは少しおかしくないか、って気がします。いや、ラストの大勝負の場面で、成功したら消滅してしまうようなメモをのんきに書いている時点で十分におかしいのですが(笑)。

しかし、十分に面白い映画でした。よく練り込まれた脚本が魅力的です。アナザーエンディングということで違う結末がふたつ用意されていましたが、オリジナルがもっともしっくりくる展開でした。Stalker Endingとか、Happy Endingとか、ありえないっす。