Campylobacter感染症

さいきんまたCampylo食中毒が増えてきました。季節ですねー。ときどき店で発生して、「食中毒事件」になっちゃうこともあります。検査技師的には、たまにはCampyloではなくビブリオなんかも見てみたいんですけどね……まあ、患者さんがこないのは幸いか。

さて、「新鮮な食べ物では食中毒は起こさない」と思っている人がいます。あと、「火を通したら食中毒はおこさない」と思っている人もいます。いずれも間違いです。新鮮な食べ物でも食中毒は発生しますし、火を十分通しても食中毒を起こすこともあります。ひとくくりに食中毒と云っても種類はいろいろあり、店のひとでもそのあたりがよくわかっていないことが多いので要注意です(消費者からしたら注意しようもありませんが)。

  1. 新鮮な食べ物なのに食中毒を起こす?
    • そもそも食べる部位である「筋肉」に菌はいない。筋肉はどのような生物であれ、本来「無菌である」。
    • にもかかわらず、菌に汚染されているために食中毒が発生する。
    • これは肉工場で肉をかっ捌くときに誤って腸管を損傷することで発生するため、「生食用」とされる肉以外はすべて一定の確率で「汚染されている」と考えなければならない。つまり、どれだけ新鮮であろうが、この場合は火を通して調理しないかぎり食中毒になりえる。新鮮な肉を使っているから食中毒を起こしませんという論理は成立しない。
    • 日本には生で食べる文化があり、意外にいろんなものを生で食べている。が、チョー危険なハイリスク行為であるという自覚はない。

食中毒と聞くと、手にばい菌がついて、それが悪さをする、というパターンを思い浮かべますが、その菌はもともと「食材」についていたことがほとんどです。手洗いも重要ですが、それだけでは食中毒を防ぐことは難しいでしょう。