皮膚呼吸の怪

以前、人間は皮膚呼吸などしていないと実家のものに説明したところ、猛然と皮膚呼吸の「証拠」を並べられ、反論されたことがあります。いわく、全身やけどで人が死ぬのは、皮膚呼吸を妨げられるせいだ、と。そんなバカな、肺が機能していればひとは窒息することなんかないと云っても聞く耳持たず。全身火傷でひとが死ぬのはもっとほかに致命的ないろいろな理由があるのですが……どうも長年信じてきたことを否定されると冷静になれないようでした。ううむ。

つまるところ、この皮膚呼吸を謳っている商品のほとんどすべてに科学的根拠がありません。困ったことです。だいたいさあ、人間が仮に皮膚の毛細血管で酸素のやり取りをしていたとしてさぁ(そのくらいは別にあっても不思議ではないと思う)、その皮膚呼吸とやらが妨げられたらひとは死んじゃうわけでしょお?長風呂が好きな人は、大変だねぇ……(なんだかぐったり)

少し考えればわかるはずなのにと思いますが、この皮膚呼吸は都市伝説のようにいまでも広く信じられているようです。え、そういう意味じゃない?皮膚呼吸を妨げると、ミクロレベルで新陳代謝が妨げられてお肌が荒れたりするんだ、って?うーん、まあ、そういう比喩的な皮膚呼吸だったら、べつにいいかな、とは思います。皮膚ってもともと汗とか垢とか出す排泄器官なんで、外気に触れていないとダメだってところ、ありますしね。ただ、誤解をまねく表現なので、使うべきではありませんが。

ただ、命に関わるんだ、って力説するヒト、それはマズいですよぅ。疑似科学の信奉者みたいに見えちゃいますからね……