監視の頻度4

病院における制約はいろいろあると思いますが、病院内でいちばん消費されるリソースは「人材」ではないでしょうか。まあ、これを云いだしたらどんなシステムでも当てはまるのですが、たとえば、病院内で患者に対して行われるほとんどすべてのイベントに医師・看護師が関与します。従って、ほぼすべてのイベントで医師というリソースを消費します。これは自明の理で、だから人件費を削る時は事務員や看護師が対象になります。もちろん検査技師も。機械化できる分野なので、なおさらかもしれません。機械化して首が切れるほど業務が助かったと言う事例があるなら、教えて欲しいもんだと思いますが。

閑話休題。

で、病院の収入を阻害している素因がどこにあるのか、という分析が重要なのではないかと思います。患者の数が足りていないのであれば、患者獲得が制約です。結核病床は、結核患者が少なくなってしまったので余り気味ですね(従って儲かりません)。ですので、患者が病院の外で待っているなら病院の中に制約があるんでしょう。患者の数が少ないんだったら、うーん、シティバスでも走らせて見たらどうですか?「そんなコストが…」とかいう声が聞こえてきそうですが、患者を獲得する努力は必要でしょう。いや、バス走らせてすぐに解決するとは思いませんが。

というわけで、「予算を決めているのは事務屋さん」であり、「事務屋さんの評価基準は利益である」のであれば、「感染対策を実施するためには、感染対策によって得られるメリット(利益)を明示しなければならない」わけですね。しかも劇的なメリットがあることを明示しなければならない。ちまちました、数百万円改善しました、なんていいわけみたいな金額では事務が納得してくれないわけです。そうすることではじめて、人員を確保することが出来る。未来にわたって継続的に利益を生み出す何かが必要であり、人員を確保すればさらなる利益を呼び込めるという明確なロジックが必要です。……書いていて、無茶云っていると思うなあ(笑)。

検査室が外注化する動きが出始めてもう何年も経ちますが、検査が生き残るためには、「検査室が病院に対してどのような利益が提示できるか」が問題なのです。こんなこと、誰もがわかっていることのはずですが、難しいことです。たぶん、誰もが構造的に無理だとあきらめている分野なのでしょう。自分で書いていてナニですが、私もそう思います。診療報酬が上がらないかぎり無理だ、というのもあるかもしれません。私自身答えを持ちませんが、でも診療報酬が上がらないかぎり無理だと思っているというひとに、これから先もずっとそんな外的要因に経営を左右され続けたいのですか、と問うてみたい。黒字の病院と赤字の病院と、ナニが違うのか。手元にデータがあったら、分析してみたいですね。面白そう。