今日のスライド

この症例は実際の症例をあれこれ修飾して(情報を削除して)作成した架空の症例です。あくまで自分の勉強のために作っていますので、そこらへんお察しください。

きょうは救急から至急で鏡検してほしいと云われたスライドです。

 

やっぱりこれもわかりにくいなあ。細かい像がわかりますか?グラム陰性の双球菌らしいものがあちこちに見えます。ただ、単独で存在しているグラム陰性球菌もあり、Haemophilusとの区別がつきませんでした。グラム陰性双球菌ならM.catarrhalisでほぼ決まりだと思うのですが、それにしてはすこし小さい気がします。でも、明らかに双球菌なんですよねえ……悩んだのですが、そのまま区別がつかないと正直に云いました。ごめんなさい。

主治医から得られた情報は皆無です(笑)。検体を運んできた看護師をつかまえて聞き出したのですが、意識がなく、痰がつまって気管支あたりがどろどろになっているそうです。CRPは30↑、抗酸菌を至急で見てくれ、ということでした。なんで抗酸菌なんだ。いや、入院先を決めるために決まっているんですが、この場面でグラム染色をオーダする医師のなんと少ないことか。こんかいはまあ、オーダされてもうまいこと応えられなかったわけですが、ふつうならここでグラム染色でしょー、って思うわけです。ぐすん。

外観はP3、Geckler分類でG5の膿性痰でしたが、なぜか痰が溶解してさらさらでした。不思議に思いつつ染色してみたんですが、弱拡大像が左です。全面に散っている細かい粒々が白血球ですが、一見してはっきりしたフィブリン糸は見えないように思います。強拡像ではグラム陰性の双球菌が全面に認められますが、単独で存在する球菌も見え、M.catarrhalisにしては小さ過ぎて、Haemophilusにしては形がおかしい、という、なんとも困った感じのスライドでした。白血球の核は辺縁不鮮明で、胞体辺縁も不鮮明、若干時間が経過した感じの像ではないかと思います。もしこれがM.catarrhalisなら……慢性気管支炎の急性増悪とか、かなあ……?

でもフィブリンが見えないんだよなあ……。・゚・(ノД`)・゚・。ワカンネ

抗生剤はCTRX:1(g)*2回/dayかと思いましたが、実際にはIPM/CS:0.5(g)*2/dayが使われていました。グラム染色が必要ないわけだ……