誤嚥性肺炎……?

例によって例の如く、これは私が実際の症例を修飾して作り上げた架空の症例です。ここに書いてあること、真に受けないでくださいね。

 

若干わかりにくいのが何ですが、(おそらく)誤嚥性肺炎のグラム染色像です。まだ臨床診断名を確認していないので、ほんとかどうかわかりませんけど。左が弱拡大で、右が強拡大ですね。

例によって、抗酸菌の至急鏡検依頼です。あちらさんは抗酸菌を見てほしかったようですが、ついでにグラム染色をしてみて正解でした。外観はMiller&Jones分類でP3、G5くらいの膿性痰です。弱拡の鏡検像では菌がほとんどつぶれてしまって見えませんが、白血球が多数見え、扁平上皮らしきものがちらほら見えるのがわかると思います。……わからないかも。

強拡大では、まずめちゃくちゃにいろんな菌が見えますが、おそらく口腔内の常在菌だと推測されます。それに加えて、若干のグラム陰性桿菌。多核の白血球が多く見られますが、核の辺縁は不鮮明な感じで、全体的に崩れかけた白血球が目立ちます。胞体部分に空胞は見られず、菌も貪食されているかどうかはっきりしません。というか、見えている菌が多過ぎて、優位な菌が絞れません。そして何より、はっきりとしたフィブリン糸がほとんど見えないのに驚きました。

おそらく誤嚥性肺炎ではないかと思いましたので、その旨主治医に伝えて患者さんの状態を尋ねました。高齢で、臨床的にも誤嚥性肺炎を疑っているとのこと。抗酸菌は陰性でしたので、一般病棟に入院になりました。CAZ+CLDMで対応したようです。像はそれほど重症には見えなかったのですが、臨床的には重症だったのでしょうか。