平地なら何とか

坂道は絶対的にダメだ。走れたもんじゃない。

肩甲骨は開き気味にして走るとよいという記述を見てやってみたが、なるほど、全体的に安定し、走りやすい。低速でふらつくのが少しマシになった。ペダルの回転数は一定にして走るのがいいらしいというのも実践してみたが、なるほど、慣れると確かにこっちの方が足が疲れにくい気がする。坂道でも平地でも、くるくる同じ回転数を保つ。同じ回転数を保つためにギアを入れ替える。なるほど。

いろいろ試しながらノタノタと散歩していると(歩いてないけど)、以前主治医に何度も相談された患者さんのお葬式の看板が目に入った。私のところに相談の電話をかけてこられるケースは、たいていこじれまくってどうしようというケースか、運ばれてきたときにすでに重症でどうしようと云うケースがほとんどで、一ヶ月に一度くらい、このような経験をする(相談内容はもちろん抗生剤をどうしましょう、だ)。このケースは、血液培養から表皮ブドウ球菌が出たり出なかったりして、どうしようというケースだった。

個人的には、意味がある菌だったと思っているし、表皮ブ菌に対して治療もしたのだが、いかんせん腎機能が悪く、中途半端な感じは否めなかった。もともとの基礎疾患の方が重篤で、そのせいで血流感染を合併した、そんな印象のあるケースだった。

世間は狭いなあと感じる。と同時に、自転車に乗っていると、世界はこんなにも大きかったのかと驚く。すごく、面白い。

ALOSの怪

DPCで入院症例の会計を見ていると、いくつか不思議に思うことがある。まず、治療のための支出は入院初期に集中する。日当点は、いくつか考慮される疾患もあるようだが、基本的に機械的に定められた値で支払われる。このため、入院初期は日当点を支出が上回り、赤字になる。

そのため、経営的に眺めると、該当患者の入院を伸ばす方向にインセンティブが働くのだ。検査をせず、投薬をせず、ただベッドを占有して療養してもらえば、それだけ支出がなく、日当点だけを収入とすることが出来る。このため、現在の制度下では、「平均在院日数を伸ばす方向」にインセンティブが働く。…ように見える。

いくつか数字を触ってシミュレートしてみたが、いくつかの条件下ではたしかに入院期間を最大限伸ばした方がよい結果になるのである。平均在院日数を減らして、患者の回転が良くなっても、支出を減らして療養してもらうと、そのインパクトをわずかに上回ってしまうのだ。困った。根本的に何かを勘違いしている可能性があるが、それが何なのかわからない−−

(ちなみに、支出がまったくない場合、きわめて低い場合は、さっさと退院させて回転させた方がよい結果になる。病床数が1というきわめておかしな設定を使って考えているせいもあるのかもしれないが……)