BRM822 宗谷岬600 その2

道北には主要な鉄道がひとつしかない。JR宗谷本線だけなのだ。

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しかも内陸側を通っていて、海側には鉄道がないのである。宗谷本線は力強く稚内市までのびているが、枝葉はなく、私が力尽きた地点は、鉄道空白地帯であった。つまり、体を壊しても(メカトラであっても)エスケープしようがないのである。

それも含めて、リタイヤするかどうかを真剣に考えた。このまま走って、PC2、ノシャップ岬を目指した方がよいだろうか?膝はたぶん、最後までは保たない。つまり、600km完走はもう無理だ。そこはいい、問題ない。悔しいが、仕事に影響が出る走り方は出来ない。ノシャップ岬までは230km、残りは90km。この向かい風の中、90km、騙し騙しでも走れるだろうか?そこからさらに稚内へ。電車はないので、到着してから宿を探す。土曜日の稚内で?いつもはどうなのかわからないが、果たして見つかるだろうか・・・?

地図を見直してみる。自走で引き返すのは無理だ。ここから140km、壊れた足で引き返したら、到着が朝になってしまう。単純に同じコースは走りたくないし。……直近の鉄道駅(佐久駅)まで、山越えをしていけば最短で行けそうだ。このあたりはとんでもない斜度、標高の山はないはず。時刻表を見てみる。……だめだ、この足だと最終便までとてもじゃないが間に合わない。最終がむちゃくちゃ早いじゃないか。駅寝?あったかいとはいえ北海道だ。出来ればやりたくない。山の中の駅だ、冗談抜きで動物に襲われる可能性もあるし、寒さで死んじゃうかも。

少し考えて、音威子府まで山越えで抜けて、そのまま360km地点のPCに逃げ込むことにした。ここはもともと仮眠所に設定されているので、寝られるはずだ。夜風雨露をしのげれば、それでいい。よし、このプランでいこう。うまくいけば、風も避けられるかもしれない。距離は……たぶん、70kmくらいか。どっちにせよ最低そのくらいは走らないとエスケープできそうにない。PC2まで根性で走ってそこから考えるというのもありかもしれないが、先が見えないからやめておこう。

ということで、主催者にリタイヤ(Did not Finished:DNF)連絡した。

ここで私の宗谷岬600は終わったのである。