渋滞を科学する

これ、以前に書いた記憶があるんですが、はてなにはログがありませんでした。HTMLでちまちまやっていた時代に書いたようです。

渋滞を科学する、なんて云うとちょっとかっこいいですが(そうか?)、要するに渋滞はなぜ発生するのか、ということです。さいきんそういった研究をされている先生のことがニュースで流れていたように思いますが、渋滞の原理はしごく簡単に想像することが出来ます。なぜ渋滞が起きるのか?トンネルの入り口だとか、坂道だとか、そのあたりが有名ですね。でも、そんなものがなくても渋滞は簡単に発生します。

たとえば、無限に続く一本の道を想像してください。そこに10台の車を用意しましょう。そこで車を走らせる。渋滞は起きるでしょうか?考えてみてください。10台の車がすべて60kmで走っていたら、渋滞は起きないでしょう。ところてんのように車が流れていくだけです。でも、現実では車のスピードはまちまちです。前の車のスピードに合わせて、自分の車のスピードを調節しながら運転しています。ここがミソ。300km出る車があったとしても、追い越し車線がなければ自車のスピードは前の車のスピードに制限されますね。現実には、車間距離を取りますので、前の車のスピードよりも若干スピードが落ちる瞬間があります。車間距離はバッファです。バッファが少なくなればブレーキを踏んで車間距離を取る、これが普通の行動でしょう。従って、自分の車は前の車のスピードに制限され、なおかつ瞬間的に前の車よりもスピードが落ちる瞬間があります。

この瞬間は一瞬のものですが、では車の数が増えればどうでしょうか。車の密度が増えれば、バッファが減りますので、より頻繁にブレーキを踏むことになります。従って、より頻繁にスピードが落ちる。前の車がスピードを落とせば自分もスピードを落とさざるを得ない。すると後ろの車もスピードを落とさざるを得ない。OKでしょうか。結論は単純、車の数が増えれば、それだけで渋滞が発生する、ということになります。

何にもないところで渋滞が発生する最大の原因はこれでしょう。トンネルや坂道も関係はあると思いますが、すべてではない。シミュレータを作ってシミュレーションしてみたら、たぶんn数(車の数)を増やしたら渋滞が発生する様がはっきりと出てくるでしょう。納得出来ない人は、無限に続く一本道ではなく、両端の閉じた環を想像してみてください。同じことですが、こちらのほうがより視覚的にわかりやすいでしょう。

そうか、これを書いたのはたしか二年くらい前だったと思うが、そのときにシミュレータを作って論文を書いたら、一本論文が書けたのか……(冗談です)。