患者になった検査技師5

結核の診断って、難しいんですよね。喀痰から菌が出てきたらそれでおしまいなんですけど、ぜんぜん出てこない患者さんもいる。塗抹陰性、培養陰性の活動性結核というのはありえます。ですので、菌が出てきたら確定なんですけど、培養結果がゴールドスタンダードかと云われれば、そんなことはない。そんなときはどうするんだと云われれば、喀痰検査を繰り返すか、胃液を採取するか、より侵襲性の高い気管支洗浄などの検査を実施せざるを得ないわけです。

さいきんではQFTが出てきましたので、これを臨床応用するドクターが増えてきました。これは血液検査で結核感染の有無を判定する検査で、BCGの影響を受けないことからツベルクリン反応よりも正確性が期待出来ます。個人的には気管支洗浄をされるくらいならQFTをしてくれと云いたいところですが(笑)、それほど万能の検査でもありません。あとはレントゲンとか、CTとか、そのあたりですかね、使える検査って。

患者の立場からすると、主治医が頭をひねって検査を繰り返すようすは強烈な不安を煽ります(笑)。それなりに理由があって検査を繰り返さざるを得ないわけですが、この先生大丈夫かいな、と思ってしまうのが人情というか、患者心理というか……とくに呼吸器系は「癌じゃなかろうか」という疑念がありますので、早めに説明を受けたいと思うのが常でしょう。私の場合は、けっこうあっさり痰の中に菌が見つかりましたので、すぐに入院が決まってしまいました。ま、そんなものです。

  1. レントゲン検査
    • たまに画像所見万歳のドクターがいますが、高齢者の画像は正常なひともいるそうです。そこまで極端でなくとも、画像が正常だから(もしくはそれらしくないから)結核じゃありません、ってのはありえない。逆に、結核っぽいから入院して検査しましょう、っていうのは良く聞く話。
  2. CT画像
    • レントゲンで怪しいとなれば、たぶんCT画像は撮るんじゃないでしょうか。レントゲンでわかりにくくても、CTだとはっきりと所見が読めることがあります。一般的に云って、CT画像を撮らないとよくわからないということが多いようですね。私の場合はレントゲンではよくわからなかったのですが、CTではっきりしました。
  3. 血液検査
    • 炎症反応が出ていることが多い。あくまでも多い、というだけで、出ない人もあり。私がそのパターン。たいていのひとは血沈が陽性に出るが、私は血沈すら陰性だった(これはちょっと驚いた)。
  4. QFT
    • 順当に陽性だった。まあ、当然の話か……と思いきや、QFTの感度は8〜9割。10人にひとりは見逃されるという事実を抑えておかないといけない。さいわい、私はこれでひっかかって結核の確定診断を得た。
  5. 喀痰検査
    • 感度が検体の質に大きく左右される検査。唾液を出して意味がないので要注意。唾液しかでないのであれば、仕方がないので胃液を採ったり、気管支洗浄したり、対応は様々。
    • ここで菌が見つかれば話は速い。見つからなければ、検査を繰り返すか、鑑別診断を考え直すか、別の方法を探すか……対応はいろいろ。