こう書くのも何ですが、私はちょっと変わった経過の結核患者でした。経過というか、非典型的というか……以前8割方見逃されると書きましたが、困ったことに、胸部レントゲン以外、ほとんど異常がないという、やっかいな患者なのでした。
- 血算で白血球の上昇なし(貧血などの異常もない)
- 生化学検査でほぼ異常なし
- 若干、ALPが高かった(意味があるのかどうか不明)
- 肝機能正常、腎機能正常、血沈正常。
- 空腹時GLUが100(mg/dl)あってビビったけど、これはまた別の話。
- 尿沈渣正常
- 体温37.2℃前後、血圧正常
- 正確なところはわからないが、ここ数ヶ月で体重が4kg落ちた。
主訴は微熱と寝汗、体重減少のみ。咳・痰(-)。うーん、これで結核を視野に入れて検査をするかどうか、ですね。私はこの時点でごくわずかですが、排菌がありました。つまり、まわりに感染させる可能性が少ないながらもあった。咳も痰もありませんでしたが、いずれ咳や痰も出るようにはなったでしょう。この時点で見つけられるかどうかがミソですが、うーん、この症状でレントゲンまでとろうと思うドクターがいるのかなあ……
たいていの外来ドクターなら、おそらく生化学検査正常で血沈(-)、咳も痰もないなら、「様子を見ましょう」ということになるでしょう。私の場合は健康診断でレントゲンがひっかかってましたので、そこがとっかかりになりました。若いせいか、レントゲンが典型的だったわけです。ある意味助かったというか何と云うか……レントゲン+ちゃんと菌が出ていたので、比較的さっさと入院が決まって治療が開始されました。呼吸器の先生曰く、「治療は速ければ速いほうがいい」。納得です。
ちなみに、私の場合は肺癌などが鑑別に挙がりますね。確定診断がつく前に上司に説明するときに合わせて可能性としてこれを説明したんですが、「他人事みたいに説明するね」と云われました。そうでしょうか。自分が患者さんを前にして思考する、そのパターンをそのまま説明しただけなんですけど……