スカイクロラ考・子供

ふと気になったのでGoogleスカイクロラの感想を探してみたんですが、どうやらキルドレが永遠に思春期を生きる「子供」であるということを、文字通りそのまま受け取った方がいっぱいいるようだと感じました。彼らは煙草も吸いますしビールもじゃんじゃん飲みますし、トキノに至っては女買いにいきますし、ユーイチもそれに抵抗を示しませんし(笑)、およそ「子供」らしくないわけです。というか、まあ、ぜんぜん子供じゃない。やってることは若干退廃的で、「大人」な男なワケですよね。

子供ってそういうことじゃないんじゃないか、と思います。基本的に子供って無邪気なもので、自分の興味のあることしか興味がない。不自由を嫌い、自分のしたいようにやりたい生き物です。キルドレたちは全員「戦闘機のパイロット」である自分に疑問を持っていないように思います。キルドレたちには空を飛ぶこと以外どうでもいいという、そういう無邪気さがある。曖昧模糊とした記憶の中で、過去と現在と未来が等価な彼らは、戦闘機で飛んで闘っている間が唯一といってもいい現実なのです。現実の戦争では精神失調を来す兵士はごろごろいるはずなんですが、彼らは割と穏やかで、感情の起伏に乏しい。彼らは現実を受け入れており、誰も戦闘機のパイロットで人殺しをしている自分という存在に疑問を持っていない。たぶん彼らは固定資産とか持ってないだろうし、自分の手の届く範囲にしか持ち物がないんだろうなと思います。どうでもいいんでしょう、マジで(苦笑)。

もちろんそのままじゃ完全に社会不適合者であって、子供は大人になるにつれて、そうやって社会と自分を取り巻く周囲の環境とに折り合いを付けて生きていく。結局、そういうことが「大人になる」ということなんじゃないかと思うわけですね。彼らは折り合いを付けるも何も最初からそれが当然の世界で生きているわけで、自分のやっていることに疑問を持っていない。三ツ矢のキルドレ講釈は「アイデンティティの揺らいでいる自分自身に対する疑問」であって、戦争をしている自分への疑問とはちょっと思えない感じです。まあ、そこらへんがキルドレキルドレである所以かなあ、といったところですが……