学会終了ー

というわけで、無事に仕事を終えましたので、あとは気楽なもんです、ハイ。

ちととちりましたが、発表も無事に終わって、質問も想定していた範囲内で済んで、とりあえずは丸く収まった感じです。ま、こんなモンでしょーよ。あとはいくつか発表を聞いて、たまたま出くわした大学のときの同期とそこの施設の後輩の女の子と談笑し、腰が痛くなってきたので途中で抜け出して宿へと退散。こんかいはいろんな関係で立ちっぱなしを食らうのが非常に多い出張です。あ、日本臨床微生物学会ですけど。

っていうか、この学会、それほど規模が小さいわけじゃないのに、なんでこんなに小さいハコでやるかなぁ。明らかに場所の選定ミスだと思う。グラム染色エキスパートのセッションがいちばん人気で、山本剛先生と細川直登先生のグラム染色談義が秀逸でした。このセッションは始まる前から長蛇の列で、係の人が列の最後尾見ながら、「たぶん立ち見でも入りきらないです〜」と悲鳴を上げてましたね。二年くらい前からかな、グラム染色の講義が学会で主に取り上げられるようになってきて、そのいずれも人気だったし、きょうのこの状況は予想できたと思うのですが、それにしてもおそらく会場の二倍、およそ300人〜400人くらいが会場に押し寄せたのは予想外だったのかもしれません(急遽、会場外に外部モニタを用意して、みんなおとなしくそのまわりに座りこんで見ていました)。明らかに人気を見誤ってます。

ま、あとは深在性真菌症の話を聞きたいくらいで、とくに聞きたい話もないんですが……PK/PDはもうちょっと食傷気味だしなあ。あれ、電子カルテで患者さんの腎機能を評価して、自動的にPK/PDを絡めて実際に投与したときに感受性があるかないかを評価するシステムがあったらいいのにね。そういえば、セミナーを聴いていて疑問に思ったのが一件あって、「LVFXなど高用量の製剤が出てきているが、いままで少ない量で治療できていたのに安易に高用量製剤に手を出すべきではない(という趣旨の発言)」、「ペントシリンなど、高用量を用いたら効くのは当たり前(という趣旨の発言)」、「in vitroのPK/PDには疑問がある(という趣旨の発言)」をされた先生がいらっしゃったのですが、どうもあの云い方だと、誤解を招くような気がします。LVFXはin vivo、in vitro関係なく、薬剤の性質として一回で高い濃度を実現してやったほうがよく効くというのが理論としてはっきりしているので500mg製剤が出てきたわけですし(その証拠に、いまではほとんどの新しいキノロンが一回投与で承認を受けている)、時間依存性のペニシリンは高い用量で用いたところで、効果が伸びるのは4MICくらいまでが限界で、あとは高い血中濃度でも大して効果が伸びないのも理論的に確かなことです。したがって、現状量が足りないというより、MICを越える高い血中濃度をなるべく長く実現してやろうとして結果的に総投与量が多くなっているだけ、それが実現できていない現状を指して、「量が足りない」と表現しているだけのような気がするのですが。どうにもあの云い方だと、PK/PDやde-escalationの概念を誤解している、理解できてないのではないかと、誤解されるのではないかと思います。

ま、今回は病院の金で来ていますので観光にいけないのが残念ですが、もうすでにお腹いっぱいです。もともと興味がグラム染色以外は環境感染学会よりなもので、早く帰りたくてうずうずしております(汗)。